【男主】涙でにじむ約束は Ⅱ (ページ25)

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分からないページ25

目黒side

気がつけば、家に着いていた。

頭の中が真っ白で、
どうやって帰ってきたのかすら
思い出せなかった。

Aくんの言葉が、理解できなかった。

いや、頭では言葉の意味は分かってた。

けど、心が受け入れるのを拒否している。

珍しい病気にかかって
余命があと１年だって宣告されたって。

最近体調を崩してる日があったのも
そのせいだったんだ。

繋げたくなんかないのに、
今日までのAくんの様子と話が
繋がってしまう。

目黒「わっかんねぇよっ……」

そんなの、絶対ありえねぇ。

冗談だって思いたいのに、
Aくんがそんな趣味の悪い嘘を
つくはずがないのは俺がよく分かってる。

だから、あの言葉は本当なんだ。

けど、そのことはまだ誰も知らない。

A「ちゃんと自分の口から話すから
それまでは黙っててほしい」

そう言われた。

A「こんなことになって、ごめんな」

Aくんの言葉に
俺は何も返せなかった。

かける言葉も、見つからなかった。

なにも分からない。

初めて知ったAくんの運命を
受け入れられてもいない俺には、

Aくんの今の思いも、
俺になにができるのかも、
これからどうなってしまうのかも。

朝までほとんど寝ずに考えたけど
結局何一つ、分からなかった。

今日は全員でのダンスレッスン。

Aくんは、来るんだろうか。

どんな顔して、会えばいいのか
それすら分からなかった。