機転 ページ45
渡辺side
A「いって！ おまえ恩人に向かって！
俺がとっさにマイク交換してなかったら
今頃放送事故だったからな！」
俺が叩いた肩を大げさに押さえながら
Aはまだ笑ってた。
佐久間「いつの間に交換してたの？
全然気づかなかった」
A「フォーメーションチェンジのときに
ちょうど翔太とすれ違うとこあってさ。
そのときに。
翔太そのあとソロパートあったから
マイクなしじゃごまかしようないでしょ？
俺は全員のパートしか残ってなかったから
最悪なしでもなんとかなるかって思ってさ」
宮舘「よくとっさにそこまで判断できたね。
本当すごいよ」
A「あそこで立て直した翔太もすごいけどね」
そんな話をしていると、誘導係のスタッフさんが
やってきた。
スタッフ「お疲れ様でした。
こちらにお願いします」
Aは何事もなかったかのように
楽屋の方に足を向けた。
渡辺「A！」
A「ん？」
渡辺「…ありがと。本当に助かった」
俺がそう言うと、Aは微笑んだ。
A「困ったときはお互い様だって！」
それだけ言って、また前を向いた。
ほんとかなわねぇな、こいつには。
Aの機転に助けられたのは
今回だけじゃない。
助けられる度に、Aの冷静さと
動じない強さを思い知らされる。
どれだけ緊張する場面でも、
どれだけ怖い場面でも、
Aがいればなんとかなる気がした。
そう思わせてくれる存在がいることが
どれだけ俺たちの心を支えてくれているのか。
きっと、Aは知らないんだろうな。
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作者名：くらげ
| 作成日時：2021年9月20日 5時
