【男主】涙でにじむ約束は (ページ35)

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胸騒ぎページ35

深澤side

A「ごめっ……はあっ、ごほっ」

深澤「いいから。しゃべらないで」

こんなAの姿を見るのは初めてで
ただ背中をさすってあげることしか
できない自分に腹が立つ。

A「もうっ、大丈夫……」

何度か吐いた後、Aがゆっくり
立ち上がった。

ずっと無理な体制でいたせいか
かなり具合が悪いからなのかは分からないけど
足元がかなりふらついていた。

とりあえずAを支えながら
手洗い場でうがいをさせて
トイレのすぐ前にあるベンチに座らせた。

深澤「収録、休んだ方がいいんじゃない？」

A「……できるよ。吐いて少しは
楽になったし」

身体を背もたれに預けながら
そう答えたAだったけど、
俺の目にはどうしても大丈夫だなんて
見えなかった。

深澤「何か飲み物取ってくる。
口、気持ち悪いでしょ」

今これ以上言っても、Aの意地を
張らすだけだと思って話を変えた。

A「ごめん。ありがとう」

深澤「気にしなくていいよ。
１人にしちゃうけど大丈夫？」

本当だったら誰か付き添っていた方が
安心なんだろうけど、スマホはカバンの中で
誰かに手伝ってもらうのは難しそうだった。

A「大丈夫。あと、申し訳ないんだけどさ
俺のカバンのポケットに薬入ってるんだ。
それ、一緒に持ってきてくれたら助かる」

深澤「ん、了解」

なんの薬なのかは聞かなかった。

今は少しでも早く、
楽になってほしかったから。