まだ、分からない ページ25
Aside
次の日はタイミングよくオフで
紹介された病院に行くことにした。
疑いの病名を告げられてから
渡された病気に関する資料を読んだ。
まだ世界でもほんの数十例しか
報告の上がっていない病気らしく
根本的な治療法はないらしい。
ただ、次から次へと出てくる様々な症状を
抑えるための治療法を
その度にしていく対処療法しか
今のところはないそうだ。
出てくる症状はだんだん重くなって
薬も効きにくくなったり、
使いすぎで副作用が出て使えなくなったりして
そのうちに身体が耐えられなくなる。
その先に待っているのは、死。
A「まさか……な」
そんなごく稀な病気を引き当てる確率なんて
ゼロに近い。
きっと、大丈夫。
そう自分に言い聞かせた。
普段行かない大きな病院で
迷いそうになりながらも受付をして
順番を待った。
看護師「雪村さん、どうぞ」
看護師さんに呼ばれて診察室に入ると
前の病院にいた先生よりも若そうな
４０代後半くらいの先生がいた。
医師「おはようございます、
医師の
黒縁メガネをかけた、
落ち着いた雰囲気の優しそうな先生だった。
A「よろしくお願いします」
立花「どうぞお掛けください」
A「失礼します」
丸椅子に座ると、
立花先生が微笑みかけた。
立花「いきなりのことで驚かれたでしょう？
病気については聞かれました？」
A「なんとなくは……」
立花「まだ決まった訳ではないですからね。
ごくごくまれな病気ですし、
発症する確率の方がはるかに低いですから。
今はまだ気を落ち着けて、
検査をしていきましょう」
A「はい、お願いします」
立花「今日はこの後はお時間大丈夫ですか？」
A「はい、予定はないです」
立花「時間はかかりますが、
結果は今日中に出るので聞いて帰られますか？」
正直怖い。
けど、伸ばしてても何もいいことがないのも
分かっていた。
A「今日でお願いします」
立花「分かりました。
ではご案内しますので前にかけてお待ち下さい」
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作者名：くらげ
| 作成日時：2021年9月20日 5時
