【男主】涙でにじむ約束は (ページ28)

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宣告ページ28

Aside

ようやく検査結果が出たみたいで
診察室に呼ばれた。

結果は大丈夫でした。

やっぱりそんなまれな病気には
なるはずないですよね。

心配して損しました。

なんてこれからするだろうやりとりを
頭の中で想像しながら
さっきの立花先生の前に座った。

立花「大変お待たせしました」

先生からは、さっきまでの柔らかい
雰囲気が消えていた。

立花「くれぐれも、
落ち着いて聞いてください」

先生の表情があまりにも真剣すぎて
心臓の鼓動が速まるのを感じた。

落ち着いて聞けって……

まさか……な。

俺の勘違いであってほしい。

そう願うことしか、できない。

立花「検査の結果、

お話していた病名で
間違いないという診断になりました」

頭の中が、真っ白になった。

何も考えられないのに、ただひとつ、
死を宣告されていることだけは
理解したくないのに分かってしまう。

A「それって……俺っ……」

死ぬってことですか。

その言葉を口にできなかった。

言葉にしてしまうと、
本当に決まってしまう気がした。

もう、逃げられないなんて頭では分かってる。

それでも、そんな無駄な抵抗を
せずにはいられなかった。

雨の音だけが響く診察室。

先生がようやく口を開いた。

立花「医学は常に進歩しています。
それに、人の身体に絶対はありません。

希望は、最後まで捨てないでください」

なにも言えなかった。

先生の表情が、言葉とは裏腹に
あまりにも悔しそうだったから。