不穏な電話 ページ23
Aside
A「はい、もしもし」
？？『お忙しいところすみません。
雪村さんの携帯でお間違いないでしょうか』
A「えっと、どちら様でしょうか」
聞こえてきたのは、すこししゃがれた
男の人の声だった。
なんとなく最近聞いた記憶が
あるんだけど……。
？？「私、〇〇病院の医師の山本と
申します」
声の持ち主は昨日診てもらった病院の先生だった。
だから聞き覚えがあったんだ。
A「あ、こんにちは。
昨日はお世話になりました」
医師「いえ、とんでもないです。
今お時間大丈夫ですか？」
A「はい、今仕事の合間なので
少しでしたら大丈夫です」
医師「先ほど昨日採血させていただいた
結果が急ぎで送られてきまして」
A「急ぎ？」
その言葉に、嫌な予感がした。
医師「えぇ。少しでも早く大きな専門の
病院で診てもらった方が良さそうなことが
分かったので、すぐ連絡させていただいた
次第です」
A「それって、何か悪いものがあったって
ことですか？」
医師「まだあくまでも可能性の段階です。
うちみたいな小さな病院では分かりかねるので
紹介状を書いておきますから
今日にでも取りに来ていただけますか？」
A「……分かりました」
昨日の穏やかな雰囲気とは違って
有無を言わせないような話し方だった。
そんなに悪いってこと……？
まさかな。
スタッフ「すみません、お待たせして」
スタッフさんが小走りでこっちに
向かってきた。
A「いえ、全然」
スタッフ「準備できましたので、
移動お願いしてもよろしいですか？」
A「分かりました。すぐ行きます」
今いろいろ考えてたって仕方ない。
仕事中なんだから、集中しないと。
そう自分に言い聞かせた。
A「阿部ちゃーん、次の準備できたって」
阿部「りょうかーい」
楽屋で待っていた阿部ちゃんに
いつもと同じように声をかけた。
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作者名：くらげ
| 作成日時：2021年9月20日 5時
