オーナー様と端っこ組 (ページ1)

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#KH (高校生) ページ1

「キヒョナまだあのカフェ通ってんの？」

いい加減諦めろよ、なんて鼻で笑いながらそんな事を言ってくるこいつはどこまでも土足で踏み込んで来る気だ。

「別にいいんだよ。俺はただ課題しに行ってるだけ」

「はいはいそーですか、んじゃ俺デートだから！じゃね〜」

手をひらひらさせながら教室を出て行くミニョクの背中を見送って俺もリュックを背負う。
友達には家じゃ気が散って課題が捗んないからカフェでやってるって言って通いつめて７ヶ月。

いらっしゃいませ。
扉を開けて真っ先に彼女の姿を探す。あ、いた
目が合うと軽く会釈をする。彼女も微笑んで会釈をしてくれる。
よっしゃ今日来てよかった心の中でガッツポーズをしながらカウンターに行くと『こんにちは、アイスアメリカーノをブラックですよね？』なんて柔らかに笑って話す彼女

心のうちがばれないようにクールにはい、と答える。

テーブルでノートを広げているとお待たせしました、と彼女の声。
この声が聞きたくてここのカフェに通っている。

『今日も課題たくさん大変そうですね〜』

「仕方ないです、もうすぐ受験なので」

『あ、そうか！もうそんな時期ですね』

話を聞くと彼女は俺よりも２歳年上で近くの大学に通っているらしい。

そうなんですね、なんて俺らしくない敬語で話していると店内からいらっしゃいませ、という店員の声
彼女もちらっと入り口を見て手を振る。

視界の片隅に映るのは茶色の髪の毛。あーあいつだ

じゃ頑張ってね！失礼します、と一言残しカウンターに戻る彼女の顔は俺に向ける微笑みなんかではなく少女のような無邪気な笑顔だった。

不意に茶髪の男が振り返り目があった
慌てて目線をノートに移す

「あーあ、邪魔すんなよ」

俺は慣れない苦いアイスアメリカーノに口を付けた。