24話 ページ26
あれから時間が経ち、敦くんが目を覚ました。
そして谷崎さんの悲鳴も同時に響き渡った。
変な怪我しなくて良かった…
天宮「敦くん!目が覚めて良かったよ!」
中島「歩斗くん…首とか背中大丈夫?」
天宮「平気!躰は頑丈な方だから!」
中島「そっか…良かった」
敦くんは微笑むと僕の頭を数回撫でてきた。
普段乱歩さんを始め探偵社の色々な人に頭を撫でられてきたけど、敦くんの手は好きだなぁ。
ま、一番は乱歩さんなんだけどね。
中島「歩斗くん…僕、ポートマフィアに懸賞金かけられて、狙われてて…」
天宮「…逃げるの?」
ああ…僕はなんて酷いんだ。
先刻は僕が其の事を考え、太宰さんと乱歩さんに説得されたと云うのに…
中島「だって…僕が居たら歩斗くん達が…」
天宮「敦くんは敦くんの出来ることをすればいい」
中島「っ…」
天宮「探偵社から逃げる、が答えなら僕は敦くんを止めないよ?」
駄目だ…敦くんを悩ませたい訳じゃない。
何でこんな云い方しか出来ないんだ…
中島「僕は今、これ以上の事を考えられない。
僕が居なければ探偵社は安全だ」
ごめんね、敦くん…
君が逃げても僕が居る限りポートマフィアは来るし、何時かギルドの連中も…
___僕も連れて行って…
そう云いたい。
だが、乱歩さんを信じると決めたんだ。
僕は此処で皆を守る。
信じて呉れと云ってくれた乱歩さんを、探偵社を…僕は守る。
中島「ありがとうございました…」
敦くんが遠ざかって行く。
天宮「これで…良かったのかな」
僕には乱歩さんの様に素晴らしい観察力も無ければ、太宰さんみたいに物事を正解へと導く力も無い。
ただ思ったことを其の儘口にして相手を困らせてるだけだ。
天宮「もっと力が欲しい…」
太宰「歩斗くんは今のままでも強いではないか。
他に何を望むのだい?」
天宮「太宰さん…
僕は弱いですよ…」
太宰「敦くんにあの様な考えが在るように君にも考えが在るんだろう?
ならば其れを実行すれば善い」
僕が考えてる事…
天宮「太宰さん、僕は異能力を使った武力でしか正解を見つけることが出来ないんです。
それでもいいのでしょうか?」
太宰「ふふ、其れも歩斗くんの魅力の一つさ」
見上げた太宰さんの顔は優しい微笑みを浮かべていた。
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作者名:星夢 | 作成日時:2017年1月7日 0時