21話 ページ23
_____痛い
全身を壁に打ち付けられ首も絞められ____
痛みを堪え乍目の前で起こっている事に目を向ける。
芥川「そう来なくては!」
芥川さんが壁を見ながらそう云った。
其の壁には虎が居た。
天宮「敦、くん…」
思ったよりも自分の声が弱々しくて驚いた。
確かあの時敦くんは芥川さんに脚を斬られたんじゃ…
樋口「くそ!」
樋口さんが銃を乱射する。
無理だ、
僕の異能が効かなかったんだから…
樋口「何!?」
あの虎の皮膚は迚も硬質なんだろう。
敦くんが樋口さんを壁に追い詰め______
芥川「樋口!!」
斬られた______
天宮「な…っ」
すると虎の姿が雪と共に消えた。
此の異能力は…
天宮「谷、崎さん…」
谷崎「へへ…歩斗くん大丈夫?」
天宮「谷崎、さんこそ…」
谷崎さんの異能力の背後に隠れていた虎が芥川さんに襲い掛かる。
芥川「《羅生門》叢!!」
あ、あれは…
流石の敦くんでも、あれは…
_____無理だ
天宮「くっそ…」
動けよ、僕の躰…!
此の儘じゃ敦くんがっ…
太宰さんは樋口さんに盗聴器仕掛けたんなら、今の状況も判ってる筈だ。
太宰さん、助けてくださいっ…
2人の異能力がぶつかる瞬間____
異能力特有の文字の帯が光った。
天宮「あの…異能力は、」
太宰「はぁーいそこまでー」
此の場の雰囲気には相応しくない呑気な声が響いた。
何時もなら耳障りに等しいのに、今はこんなにも安心するなんて…
芥川「太宰さん…」
そうか、知り合いなのか…
太宰さんは元ポートマフィアだもんね。
太宰さん登場に安心していた僕に近づく足音。
太宰さんかな?
ふと顔を上げると…
天宮「え?」
目の前に居たのは芥川さんだった。
天宮「あの…え?」
芥川「貴様、名は」
天宮「あま、みや…」
芥川「矢張り」
すると芥川さんはしゃがんで僕を見た。
そして僕の腕を掴み立たせた。
芥川「貴様も人虎と共に僕について来てもらおう」
天宮「はへ?」
思わず変な声が出てしまった。
ポートマフィアが敦くんを狙う理由も判らないのに、僕を狙う理由が判る訳が無い。
太宰「何を言ってるんだい、芥川くん」
芥川さんが掴んだ腕とは逆の腕を太宰さんに掴まれた。
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作者名:星夢 | 作成日時:2017年1月7日 0時