転生した少女は自己犠牲を厭わない【ONEPIECE】 (ページ5)

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第5話ページ5

⋈

彼女は花が好きだった。
ふわふわとした髪にはいつも花が付いていて、良い香りがした。

「花は万能薬なの。身体の傷だけじゃなくて、心まで癒してくれるの」

彼女の口癖だった。
そうなんだ、と私はいつも言っていたが、その度にああこの子は本当に花が好きなんだなと思った。

何度聞かされても、嫌にはならなかった。
むしろ、花に興味を持つようになり私も花が好きになっていった。

「私ね、いつか素敵な物語の世界に転生したら」

“転生“とか、私にはよく分からなかったけど、彼女はよく口にしていた。
この世界から離れたいって。

「花で誰かを癒したいの。心も、傷も」

うん、あなたにピッタリだね。
そう言うと、嬉しそうに笑った。

物語ってどんな物語なの？
そう聞くと、

「そうだなぁ…いっぱい行きたい世界はあるけど、特にわくわくするのは…

“ONEPIECEの世界かな“」

ONEPIECEって、確か海賊の話だよね。

「そうだよ！特に私が好きなのは〜白ひげ海賊団！！隊長達もかっこいいの！！」

白ひげ…？

「そう！！！……私がその能力で、皆を救えたらいいのに」

白ひげって、えどわー…って人の事？

「そうそう！エドワード・ニューゲート！！白ひげ海賊団の船長なの！！すっごく大きくて強いけど、家族を大事にする優しいお父さんなんだよ！…って、あれ？AONEPIECE読んだの？」

あれ、私なんでその人の事知ってるんだろう…。
白ひげ海賊団…なんて、今迄知らなかったのに。

…いや、待って。

「転生したら〜まずマルコに会って〜いやエースかなぁ夢が膨らむよ」

マルコ？
その人、私会ったことあるよ。

「…え？何言ってるの？漫画で出てくるのよ？」

え、でも私、会ったのに。
会って確か…私も…白ひげ海賊団の…ってあれ？

「ま…か…転生…」

いきなり、ザザザザと彼女の顔にノイズがかかる。
転生…？

そんな、待って！

手を伸ばしたが彼女には届かず、そのまま目の前が真っ白になった。