純愛メランコリー【Ryo】 (ページ13)

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___『龍也くん今日も残業だってー、』

「へえ、兄ちゃんの会社ブラックなんだね、やっぱり」

キッチンで晩ご飯を作ってくれているAちゃんと、リビングで勉強をする俺。

流れ込んでくる良い匂いが空腹を助長させる。

そのせいで意識がそっちに行ってしまって全然手が進まない。

というか、ワカラナイ。

『涼くんテストいつなの？』

「来週の木曜日から！」

『え、大丈夫なの？』

いやいやそれが、全然大丈夫じゃないんです。

３年生だから一応全部習い終わってるはずなのに、何この記号？

「へへ、」

『ご飯食べ終わったら見てあげるから、こっち手伝ってくれる？』

「はーい！」

パタンと教科書を閉じてキッチンにバタバタと向かう。

晩ご飯はリクエスト通り、俺の好きなものばかりで。

「Aちゃんもしかして天才？」

『ふふ、今日は涼くんのリクエストに答えました』

「俺Aちゃんのせいで太るかも」

『男子高校生はどんなに食べても太らないんだよ、……』

むしろ私が太っちゃうかも、と笑った。

細すぎるくらいの頼りないAちゃんの身体、全然もう少し太ってもいいも思うけど？

「ま、太ったらその時ね、食べよ！いただきまーす！」

ガツガツと頬張る俺とは対照的に、Aちゃんは手を止めてこっちを見ている。

ん？と口いっぱいに詰め込んだまま顔を向けると、嬉しそうにAちゃんが目を細めている。

なんだかむず痒くなってぱっと目をそらした。

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