Hiding Words (ページ2)

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「Aさんから信頼してもらえてるって言われたから、今日は満足です」
そう笑って答えた彼女。
思い返せば、彼女にきちんと伝えていなかった。

人と距離をとってしまう癖は相変わらず
直っていないようだった。

「ありがとうございます。
私のこと、いつも気にかけてくださって」
素直な気持ちを伝えると
何だか照れ隠しなのか
「もうこの話はやめましょう」と言って
話題を切り替えられた。

打ち合わせは2時間ほどで終わり
時刻は16時、4月になり少し日は伸びたが
外は茜色に染まり始めていた。

「じゃあ、今日はこのくらいで
また、詳しいスケジュールが決まりましたら連絡しますね」
そう言って藤井さんはZOOMのルームから退出した。

私は、軽く体を伸ばして立ち上がり
夜ご飯の用意を始めた。

その時、スマホにメッセージが届いたのか
通知を知らせる音がした。

メッセージを確認すると
【今日、仕事が早く終わったから肉じゃが食べたい】
そう、彼からメッセージが届いていた。

「本当に肉じゃが好きなんだから」
私はそのメッセージに
【早く帰ってきてください。
じゃないと肉じゃがは私が食べちゃいますよ】
と少し意地悪な返答をした。

丁度、肉じゃがが出来上がり
あとは盛り付けをすれば完成するタイミングで
鍵が開く電子音がした。

「ただいまー」
そう疲れ果てた声が部屋に響いた。
私は、盛り付けを中断して
声のする玄関へと向かった。