42 失ったと思った物 ページ46
イレブン「あっ、あの人は！」
ロウ「ふぉっふぉっふぉっ。お主等が来るのを待っておったぞ。」
カミュ「一緒に居た姉ちゃんの姿が見えないが、じいさん一人だけか？」
ロウ「ゆえあって、姫には席を外して貰っている。それにしても、よく来てくれたのう。」
カミュ「さぁ、来いと言うから来てやったぜ。奪った虹色の枝を返して貰おうか？俺達にはあの枝が必要なんだ。」
ロウ「ふむ、お主達に必要とな…
それは、イレブンが勇者であるからかの？」
カミュ「！？…じいさん何者だ？」
ロウ「16年前に死んだと思っておったぞ。だから、グロッタの武闘会で手のアザを見たときは、心の臓が止まるかと思ったわい。
イレブンにどうしても見せておきたいものがあったんじゃ。少しだけ、この老人に付き合って貰うぞ。」
ロウ「この地には、辛い思い出が多くてのう。」
カミュ「おいじいさん、アンタ何者なんだよ？」
ロウ「あの頃、わしは隠居しておってのう。城下に降りては民と杯を交わし、笑い会う。そんな毎日を過ごしておったのじゃ。
じゃが、16年前のあの日…魔物達が全てを奪っていった。
今や嘗ての栄華は、見る影もない。たった一晩でこうなってしまったんじゃ。」
ロウ「おおっと。すまんのう。イレブンに見せたかったものは別にあるんじゃ。では、行くとしよう。」
そこには1つのお墓だ
ベロニカ「このお墓は…？」
ロウ「…この国の、ユグノアの国王夫妻の墓じゃよ。」
シルビア「それってつまり………イレブンちゃんの………」
ロウ「さよう…勇者 イレブンの実の両親。すなわち、16年前に亡くなったわしの娘と、婿殿の墓じゃよ。」
カミュ「えっ？と言うことはアンタ、イレブンのじいちゃん…？」
ロウ「娘も死に、婿殿も死に…それでもわしだけが生き残ったことには、意味があると。そう思わなければ、あまりにも辛かった…
だから、16年間わしは追い求めたのじゃよ。何故ユグノアは滅ぶことになったのか…その原因を探るのを。生きる目的としたのじゃ。
そして、各地を回りわしは知った。勇者伝説の信奉者であった、盟友、デルカダール王の変心をな…
エレノアよ…アーウィンよ…喜べ、お前達の息子じゃ。元気に生きておったぞ…！」
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作者名：山ノ花禊(元リャナ) | 作成日時：2023年12月7日 15時
