嘘つきラバー〈安室透.降谷零〉 (ページ42)

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42.＂大丈夫＂ページ42

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「……安室さんが来てくれなかったらどうなってたのかなって怖くなって……でも、自業自得、なんですけどね……」

誰にも相談しなかった自分が悪い。

それに、あんな時間に一人で……

「安室さん、助けていただいて本当にありがとうございました…」

深く、もうこれ以上ないってぐらい頭を下げると、信号が赤に変わったのか車がゆっくり止まった。

『貴方は何も悪くないですよ。』

私の髪に触れる優しい手に、また泣きそうになった。

『……Aさん、顔を上げてくれますか？』

穏やかな声にそっと顔を上げると、優しく揺れる瞳が私だけを見つめた。

『手を、出していただけますか？』

不思議に思いながら、手を出すと

安室さんは私の手のひらにチャラ…と何かをのせた。

………ネックレス？

キラリと光るストーンが付いていた。

『物心ついた時から僕がずっと持っていたものです。』

『貴方の幼馴染のお守りには勝てないかもしれませんが……よかったらAさんが持っていてくれませんか？』

透き通る碧眼が、揺れる。

「そ、そんな安室さんの大切なもの、受け取れな…」

『Aさんに持っていて欲しいんです。それじゃ、幼馴染のお守りの代わりになりませんか……？』

慌てて返そうとするも、彼の真摯な目に何も言えなかった。

『………そんな顔しないでください。』

困った表情を浮かべた安室さんは私の頭に手を乗せる。

『大丈夫。きっとキミの幼馴染は帰ってくるよ。』

まるで安室さんは私の不安を汲み取ったみたいだった。

あのお守りの代わりになるものが出来てしまったら……

もうきっと、
あの人には会えないんじゃないか────

そんな私の気持ちが目の前の彼には伝わったのだろうか。

安室さんは私の肩を優しく抱き寄せた。

『……こんな可愛い人を残していなくなってしまうはずないだろう？』

彼の声は、どうしてこうも心が落ち着くのだろう。

フロントガラスに叩きつける雨の音は
どこか遠くに聞こえた。

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