嘘つきラバー〈安室透.降谷零〉 (ページ19)

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19.一度だってページ19

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公安………

ギュッと拳を握りしめると、不思議そうに津川さんが私を見つめた。

津川「この前といい、やけに公安という言葉に反応するんだな。公安に何かあんのか？」

「いえ、別にどうもありません。ただ……」

＂ねぇ、今どこにいるの！？
────お母さんがっ！！＂

＂悪い、今は仕事で忙しい。また掛け直す。＂

脳裏に嫌な記憶が過った。

何が仕事？

＂あの人＂にとって私たちは何だったの？

掛け直してきたことなんて、一度だってなかったじゃない……

肩にかけたカバンの持ち手を強く掴む、そんな私を察したのか灰皿にタバコを押し付けた津川さんは夕日が沈む窓の外を見つめた。

津川「………良い印象はねぇよなぁ、そりゃ。テレビドラマでも無情で嫌なポジションだからな。」

「………事件に関してはメールでご報告します。失礼します。」

きっと深刻な表情の私を見てフォローしてくれたんだろう。

何だかんだ言って彼は優しい人だ。

拳はギュッと握ったまま記者倶楽部を後にした。

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