嘘つきラバー〈安室透.降谷零〉 (ページ17)

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17.人違いじゃないですか？ページ17

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………………な、なに、今の────

私だけに聞こえる声で、そっと囁くみたいに。

まるでいきなり爆弾を落とされたようで
かなり心臓に悪かった。

『Aさん？どうかされましたか？』

「や、……何も……」

不意を突かれるとはきっとこういうことだ。

早く波打つ鼓動に気づかないフリをして、何事もなかったかのように紅茶を飲んだ。

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『ありがとうございました。またいつでもいらして下さいね。』

美味しいコーヒー淹れますから、なんて微笑む安室さんはお店の外まで見送ってくれる。

「こちらこそ、色々とありがとうございました。コーヒー楽しみにしてます。」

ぺこりと頭を下げて、歩き出そうとした……けど

どうしてもやっぱり……引っかかる。

「あの、安室さん……」

突然振り返る私に安室さんはキョトンとした表情をした。

「一度、どこかでお会いしたことありませんか？」

『………え？』

「すごく雨が降っていた午前０時過ぎの日本橋です。覚えてませんか？」

顔を覗き込むように、安室さんを見つめるけど
その表情はさっきと違って全く読めなかった。

「その時安室さん、怪我して……」

『……さあ。人違いじゃないですか？』

私の言葉を遮るように、淡々と言葉を並べた。

「でも……」

『顔の似ている人物の一人や二人はいますよ。今の時代、安易に変装が出来る人も…いますからね……』

『それに、』

フッと微笑んだと思えば
艶っぽい瞳が私を捉えた。

『僕は貴方みたいな素敵な人、一度お会いしたら忘れませんよ。』

お気をつけて。

安室さんはそれだけ言うと、店内へ戻って行った。

………そう、だよね。人違いか。

透き通るような碧眼
目で殺す、そんな鋭い視線がやっぱり頭を離れない。

「顔の似ている人物の一人は二人はいる……か。」

日本橋のど真ん中。
雨に打たれるあの人は一体────。

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