16.器用な人 ページ16
*
「安室さんって探偵なんですか……?」
少しの間があってすぐ、
安室さんはコナンくんを一目見るとふっと微笑んだ。
『まぁ、毛利先生の弟子、という身分ですけどね。』
毛利小五郎の弟子……
ポアロでウェイターをしながら探偵業も。
器用な人なんだ。
確かに器用そうな感じするもんね……なんて考えていると子どもたちがカウンターへやって来る。
歩美「もぉー!!コナンくん!!元太くんがハムサンド全部食べちゃうよ〜〜」
光彦「そうですよ!!早くこっちに来てください!!」
元太「あと5秒で全部食っちまうぞ!!」
私のことを心配してくれていたさっきの子どもたち。
歩美ちゃんと光彦くん、元太くんはカウンターの椅子からコナンを引きずり下ろす。
コナン「ちょっ、オメーら…っ」
あれよあれよとソファー席に連れていかれてしまった。
でも、こうしてみんなと一緒にいるところを見ると普通小学生だなって思う。
……って、普通の小学生って何?
『………気になりますか?』
「え?」
コトン、と静かに音を立てて
ティーカップがのったソーサーを私の目の前にそっと置いた。
『江戸川コナンくん。不思議な子ですよ。大人が驚くようなことをいつも……。と言ってもまだほんの小学一年生、ですけどね。』
コナンくんを見つめる安室さんの眼はどこか優しいものだった。
視線を私に戻すと、「どうぞ」と穏やかな笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。いただきます。」
一口飲むとすぐ、紅茶の香りがふわっと広がった。
「美味しい…………私こんな美味しい紅茶始めて飲みましたっ!!!」
勢いのままにパッと安室さんの顔を見上げると、彼はなぜか顔を逸らしてふっと笑った。
「……か、顔に変なものでも付いてますか……?」
『いえ、そういうわけじゃ……ただ、』
クスッとまた笑ったと思えば
私の目を優しく見つめた。
『随分と無邪気に笑うんだなぁって……』
ワントーン低い落ち着いた穏やかな声が
私の耳を擽った。
.
17.人違いじゃないですか?→←15.「"ボクと"一緒だね。」
119人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぺんぎん | 作成日時:2018年5月22日 17時