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「まだ若いのに……可哀想に…」
「もう予定日はすぐなんですって。楽しみにしてただろうにねぇ…子どもの顔も見れずに…」
しんとした空間の中で囁かれる哀れみの言葉達は、嫌という程耳に届いた。
枯れることを知らない涙がとめどなく頬を流れ続ける。
『Aちゃん…行こう。ソクジンを送ってあげなきゃ』
ジンくんのお母さんが、私の手を優しく包み込む。
そう言うお義母さんの声も震えていて、それにまた胸が苦しく締め付けられた。
なんとか立ち上がったものの、数日間大したものを口にしていなかったせいか、立ちくらみがしてふらつく。
それを咄嗟に支えてくれたお義母さんに、踏み出したはずの足がまた止まってしまった。
ジンくん、ジンくん。
私もう一人じゃ歩けないよ。
危ないからっていつもみたいに手を握ってよ。心配なんでしょ？
ジンくんがいない世界は簡単に傾いてしまって、私はもう真っ直ぐ立つこともできない。
「ごめ…なさいっ、私やっぱり、無理です…っ、ジンくんがいなきゃっ……」
力の入らない体はそのままぺたりと床に座り込んで、見送るなんてできないと駄々をこねる子どもみたいに泣きじゃくった。
大きな川に流されるように、大した夢も希望も見出せずに生きてきた私にとって、ジンくんだけが生きる意味だった。
そうやっていくら私が嫌だ嫌だと現実を受け入れなくたって、ジンくんはもう戻って来ることはないし、その優しい声も笑顔も二度と届かない。
ジンくんを見送った後、お義母さんは家においでと言ってくれた。ジンくんのいない部屋で私を一人置いておくのが心配だったのもあるだろうし、何よりもう赤ちゃんはいつ生まれてもおかしくない状態だったから。
そういうお義母さんの気持ちも分かっていたけど、それでも私はジンくんと暮らした部屋に戻ってきた。
元々ジンくんが一人暮らしをしていた部屋だし、ジンくんがいない今私はそう長くないうちにこの部屋を出なくちゃならない。それならあと少しの時間を、ここで過ごしたいと思った。
何かあったらすぐに連絡してね、と何度も念を押して部屋を出て行ったお義母さんにはいと小さく返事をして、まだジンくんのいたときのまま何も変わらない部屋を見渡した。
……空っぽだった。
ジンくんがいない世界は、それだけで色を失う。
呼吸をするのすら、苦しかった。
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ひなぴ〜 - このお話ものすごくキュンキュンするぅ！これからもガンバってください！ 応援してます！！ (2019年9月28日 22時) (
レス) id: 26489886b1 (このIDを非表示/違反報告)
haru(プロフ) - nanatyn27さん» お返事遅くなりすみません！！せっかくフォローして頂いたのに、何も更新していなくてごめんなさい（ ; ; ）フォローありがとうございます（ ; ; ） (2019年9月26日 13時) (レス) id: 88b5764800 (このIDを非表示/違反報告)
nanatyn27(プロフ) - 超今さらなんですが、このお話が急にすごく読みたくなったのでツイッターフォローさせていただきたいので許可お願い致します泣 @___tae178cm です！ (2019年9月22日 14時) (レス) id: 9661676326 (このIDを非表示/違反報告)
haru(プロフ) - 凛音さん» 全てが温かい凛音さまのコメント…ありがとうございます（ ; ; ）そういえば私、自分で書いときながら結婚まで2年くらい間があったことすっかり忘れてました（笑）貴重なご意見ありがとうございます(*^^*) (2019年7月26日 22時) (レス) id: 88b5764800 (このIDを非表示/違反報告)
haru(プロフ) - はおぺんさん» わあもったいないお言葉です……ありがとうございます（ ; ; ）私も3歳児テテお気に入りです（笑） (2019年7月26日 22時) (レス) id: 88b5764800 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haru
| 作成日時：2019年3月12日 20時
