12 ページ12
.
それからなんとなく、定時で上がってもバスをひとつ遅らせるようになった。
いつもと同じバスに乗れば、きっとAさんもいて。
だからなんだって話なんだけど、この失恋の傷は意外と深く俺の心にダメージを与えてしまったらしい。
今日もひとつ遅らせたバスに乗り、いつもと同じバス停で降りて、そこから家まで少し歩く。
その途中にある小さな公園がふと目に入って、砂場で遊んでいる親子がAさんとテヒョンに見えてぶんぶんと頭を振った。
どんだけ重症なの、俺。
この調子じゃまたジミンにバカにされる、と歩く足を早めたところで、聞き覚えのある高い声が耳に届いた。
「ほそくひょーーん！！」
HS「えっ！？」
その声のする方向に顔を向けると、服や顔を泥で汚したテヒョンが、体全体を使って一生懸命手を振っていて。
そしてその側で同じように俺を見つめるのは、間違いなく、Aさんだった。
俺が見たのは幻ではなかったみたいだ。
俺が気付くと、テヒョンはそのまま危なっかしい足取りで俺の元に駆けてくる。
受け止めようと腕を広げていたところに、ぽふっとテヒョンが収まって。
そのまま抱き上げれば、きゃあきゃあと笑い声を上げて喜ぶ。
「あっテヒョン！手！汚れてる！っごめんなさい、スーツ汚れて…！」
テヒョンの後を追ってきたAさんが、そう慌ててテヒョンを俺から引き剥がそうとするけれど、ぎゅっとしがみついた手は離れなくて。
HS「あはは、全然大丈夫ですよ」
「もう本当…この間からご迷惑ばかりかけてすみませんっ」
TH「すみまてんっ」
Aさんの真似をして一応謝ってるテヒョンだけど、相変わらずひひっと歯を見せて笑っていて。
会わないようにってわざわざバスの時間もずらしたのに、こうして結局顔を合わせてしまうなんて。
どんな運命だよ、って苦笑した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 785人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
haru(プロフ) - すーさん» そうなのですね(;o;)わたしはまだ独身のぺーぺーなのですが…そう言って頂けて嬉しいです。わたしもホソクくんめちゃくちゃ欲しいです！！笑 (2020年8月11日 9時) (
レス) id: 88b5764800 (このIDを非表示/違反報告)
haru(プロフ) - 理緒さん» わーーすみませんコメントに気付いていなくてお返事が大変遅くなりました（ ; ; ）愛されるテテちゃんを意識して書いたのでそう言って頂けると嬉しいです(*^◯^*) (2020年8月11日 9時) (レス) id: 88b5764800 (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 私も一人親で、子供が寂しくないよいようにと、仮面ライダーショーとか、戦隊ショーに何度か連れて行ったの思い出して、思わず感情移入(ToT)あ〜私もホソクくん欲しかったぁ(笑) (2020年8月11日 2時) (レス) id: 794e25742d (このIDを非表示/違反報告)
理緒(プロフ) - テテが可愛すぎます！また作品楽しみにしていますね！ (2020年5月31日 15時) (レス) id: 6939d6db70 (このIDを非表示/違反報告)
haru(プロフ) - かおすさん» そんな！恐縮です（ ; ; ）ありがとうございます！頑張ります（ ; ; ） (2019年2月24日 23時) (レス) id: 88b5764800 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：haru
| 作成日時：2019年2月13日 20時
