#1 ページ1
◯
中学校に入学した翌日、まだ全然中学生の雰囲気に慣れていなかった頃、私は恋をした。
恋をした相手は、私が落としたストラップを拾ってくれた先輩。名前もわからない。
でも、目があった途端、私は先輩以外目に入らなくなった。
◯
中二に上がったばかりの頃、俺は一年の女子に話しかけられた。
『あ、あのっ！』
「…ん？」
『あ、えっと、私、今朝ストラップを拾ってもらって…』
どこかで見たことあると思ったら、今朝ガチガチだった子だ。確か、ストラップを落としてたから拾ってやったんだっけ。
「あぁ、あの時の一年生？」
『ひゃい！あ、あの時はありがとうございました！！』
「はは、そんな改まらなくても、別にいいよ。落ちてたの拾っただけだし」
そんな事をわざわざ言いにきてくれたのか。すげーいい子だな。
『あ、えっと、それで…』
「？」
スカートをぎゅっと掴んで、何かを覚悟したようにこう言った。
『好きです！付き合ってください！！』
「……………………は？」
やべぇ。全く理解が追いつかない。
落とし物拾っただけで告白されるか？普通。
よくわかんねぇけど、とりあえず優しく断っとくか。
「あー、俺お前の事全然知らねぇし、今日会ったばっかだから………うっ」
上目遣いでこちらを見つめてくる。
断って教室戻ってもらってただ魔が差したぐらいで終わってもらおうと思ったのに、これじゃあ断りにくいじゃねぇか…
「えっとー…友達から、で」
俺がそう言うと、その一年は目をキラキラさせた。
『私っ、風並Aです！』
「俺は松野千冬」
『あっ、あっ、』
何を悩んでいるのか、あたふたしている。
「？ なんだ？」
『松野先輩って、呼んでもいいですかっ』
少し顔を赤くしてそう聞かれた。
「わざわざ聞かなくても、好きなように呼べよ。よろしくな、風並」
『はいっ！！！！』
早速、明日のお昼に一緒に飯を食べる約束を取り付けられた。
はぁ…俺、あの対応の仕方で正解だったのか…？
◯
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kabi | 作成日時：2021年12月27日 12時
