【文スト】その幼女、実は______

夢現 ページ19

森said

私はエリスちゃんとAちゃんが寝たのを確認して戸を締める

やはり、太宰君と中原君に任せて正解だった

私じゃきっと彼女は本音を言わなかっただろう

彼女について調べた記録を執務室の机に広げる

ほんのわずかしかない記録は少し前に手に入れたものだ

“人口異能を使った最終兵器”

それがAちゃんだそう

敢えて機械と異能を組み合わせ仕立て上げたが何かが失敗し、完全に生命を宿して“人間”として誕生してしまった

頭脳は機械のように賢いが

心身は人間

だが、それをバテて仕舞えば彼女は要なしとなる

だから彼女は十歳もいかない歳の時に機械を演じ始めて強く自分に暗示を掛けているのだろう

その殻を早く破らなければ

もし、今此処にいるのがバレて仕舞えば計画は成功してヨコハマ……いや、すべての国が滅ぶ

そしてそれをするのはAちゃん

だった十一歳の少女が手を翳せば終わりなのだ

今の彼女なら命令されればやりかねない

太宰君達の方法では結構な日数がかかるかもしれない

だが、それでも良い、ヨコハマは潰させない

これが、私の最適解だ

そう思いながら資料を片付ける

「……明日は研究所を調べなければ」

目星はついている

私は窓からヨコハマの夜景を見る

「どうだい、綺麗な景色だろう」

「はい、そうですね」

そう言った時の彼女の目には何も映ってなかった

いつか彼女の口から本当の美しいという感想が出てくれれば良いのに

そう思いながら私は窓のシャッターを下ろした

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