【文スト】その幼女、実は______

難問解読 ページ17

太宰said

黙ったままのAちゃんは私をじっと見つめる

何かを探る様に

「……君の過去に何があったのかは君が言いたくなるまで聞かないよ」

「指示があれば、言います」

「指示はしない。君の気持ちを尊重する」

そう言えば彼女は戸惑った様に目を逸らす

今、判ったことがある

彼女は“機械”を装った普通の少女だ

何か……機械のフリをするのを虐げられたのかもしれない

「Aちゃん、君は普通の人間なのだろう、ならば考えて行動するんだ」

そういえば彼女は首を振る

「そんなの、言うのは……あの人だけだったのに、それが普通なんですか？」

「これが普通だよ」

「手前はどうしたいかで動いて良いんだよ。たった十一歳なのによく我慢してたな」

そう中也が言えば彼女は涙を流した

「……っ、申し訳ありません……泣かないです……」

「泣いて良いんだよ、幾らでも泣け」

そう言って中也はAちゃんを抱きしめる

その光景は兄妹の様だった

きっと中也は自分と同じだからと言う共感があったのだろう

その日、Aちゃんはずっと泣いていた

そのあときた姐さんと森さんに勘違いされてすごく怒られたけどね

その日、彼女は少しだけ心を開いてくれた

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