第二十三夜 ページ23
海賊に売られた。
それが最初の記憶。
顔も覚えていない両親に、小さな時に海賊に売られた。物心ついた時には狭い狭い、檻の中にいた。
最低限の食べ物だけを与えられて、余計な干渉は何もなかった。笑い方も泣き方も愛も何も知らなかった。
多分海賊は私を良い年になるまで育てて、自分達の道具にするか、ヒューマンショップで売るか、どうにかするつもりだったんだと思う。
多感な子供の時代を、誰とも話さず、なんの感情も持たずにいて、何も無い人間になってしまった。目に光もないただの、人形だった。
10歳ぐらいになってから、海賊達が私で遊び始めた。
私は初めて感情を持った。
苦しい。
でも、だんだん苦しい感情も薄まって行った。感覚が麻痺してしまった。
12歳。人生の転機が来た。
海賊が海軍に襲撃された。揺れる檻の中で、終わりを悟っていた時、船室のドアが開いた。
『オイオイ、こんな女の子まで…。』
『だ…れ…。』
入って来たのは青雉だった。後から聞いたが、私を閉じ込めていた海賊は他の部屋にヒューマンショップに売るための沢山の人間を閉じ込めていたらしい。所詮人間密売人だ。
青雉に甲板に連れ出された私は、足を凍らされた船長と対面した。
『お、おい！面倒を見てやったじゃねぇか！助けろよ！！』
なんの感情もない目で彼を見下ろした。
『おい！！助けてくれっ！！助けっ？！？！』
青雉が有り得ない、と言う目で私を見つめた。
私の手は血だらけになっていた。
そして、船長の顔面は大きく抉れ、生き絶えていた。
青雉はこれを隠そうとしたらしいけど、情報は結局上に伝わってしまったらしい。
私は身寄りがないのをいいことに海兵になる事が勝手に決まった。勿論異論など認められなかった。
小さい頃からずっと閉じ込められて、読み書きもまともにできなかったから養成校には入らずに読み書きから高度な知識を5年で全て詰め込んで、入軍した。
海軍に入ってから始めて友達ができたりして、友情を知ることができたし、初めて笑顔にもなれた。
昇格もどんどんして、半年もしないうちに雑用から少将まで行った。だけど、上司の中将に執着されて半分軟禁状態みたいになったの。部下にさせて置くために昇格も出来なくなった。そんな状態が一年半続いて、私がやばいことになっていたのに気付いた青雉がその中将をクビにして、私を直属の部下にした。体も心もボロボロになった私は一ヶ月の休暇をもらった。
そこで、あの子に出会ったの。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 193人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あイカ - 優泡さんへ 私、七武海もCP9も好きなので、どっちも出してくれて有難うございます！夢主ちゃんは色んな人に気に入ってもらっていますねェ…では！ あイカより (2019年8月29日 0時) (
レス) id: 11ab2ddcaf (このIDを非表示/違反報告)
優泡 - かなさん» はじめまして！そう言っていただけて嬉しいです！更新頑張りますね。 (2018年12月24日 20時) (レス) id: 792f1e6fe7 (このIDを非表示/違反報告)
かな - はじめまして優泡さん 小説すごく面白いですね(≧∀≦) 続き楽しみにしてます (2018年12月24日 8時) (レス) id: 69ebbce6f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優泡 | 作成日時：2018年12月6日 19時
