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おにぎり美味しい ページ2

「…ねぇ二人とも、ちょっと聞くけどさ?僕、今何を考えてると思う?」

「ん?」

お昼時の食堂。午前の授業が終わり、多くの生徒が集まるその片隅で
エリクは頭を抱えながら目の前の人物達に声をかける。

「急にどうした」

「ふぉうだほ、どーひた」

「急じゃないでしょ…あとレオンはパン飲み込んでから喋りなよ」

苦笑いをうっすらと浮かべ、顔をあげる彼は正面に座る二人を見つめる。
そしてそっと溜め息をつき、腕を組んだ。

「二人とも、今日の朝の出来事は覚えてるよね?」

それは聞いている、というよりもはや確認のようだった。
が、先程レオンと呼ばれた青年は首をかしげる。

「…っと。朝の出来事?エリク、何の話だよ」

パンを飲み込んだレオンは牛乳に手を伸ばしながら、さも不思議そうに言う。
そこに悪意はなく、ただ本当に何も覚えてないようでエリクはガクッ、と肩を落とした。
…隣の青年が額に青筋を浮かばせたのは気のせいだと思いたい。

「お前、まさか忘れたとか言わねえよなぁ…?」

……気のせいじゃなかった。
拳をバキバキ鳴らしながらレオンの方に体を動かす青年。
その顔は鬼のように目が釣り上がっている。

「何だよ」

「…レオンはもうちょっと危機感を持った方が良いと思うよ」

「?」

目の前に般若の形相をした者がいるのに、何も気づかない鈍感さはある意味才能ともいえる。
エリクはあはは、と渇いた笑いを漏らしながら、レオンに飛びかからんばかりの青年の宥めに入った。

「まぁまぁウォルフ、落ち着いて。レオンの記憶喪失並の記憶力はいつものことでしょ?」

「おうエリク、お前さらっと俺の悪口言わなかったか?」

レオンがそこだけ突っ込みを入れるがそこは黙ってスルーするエリク。
と、エリクの横からブフォッ、と何かを噴き出す音が聞こえた。

「ゲホッ、カハッ……ちょ、エリク〜?食事中に笑わせないでよ」

「あ、リア居たの。静かすぎて忘れてた」

「おーう辛辣だねぇ」

今までずっとエリクの横で黙々とおにぎりを食べていた青年が肩を震わせて笑っている。
笑いすぎてズレた丸眼鏡を直しながら息をついた。

「ぼくはねぇ、ご飯は静かに食べる主義なんだよ」

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猫月(プロフ) - オリジナル作品になってますよ!!!内容とても良かったです (2021年1月25日 19時) (レス) id: ac4ee351bc (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - おとぎの孫だ!!作成ありがとうございます八重烏様…しかもとても面白いです!!これからも応援してます!! (2020年12月22日 19時) (レス) id: 22afa4f87f (このIDを非表示/違反報告)
八重烏 - 茄子猫さん» コメありがとうございます! いえいえ、 なんというか不可抗力ですよ。姉に感謝されたって伝えときますね! (2020年2月9日 23時) (レス) id: d4f7b01d47 (このIDを非表示/違反報告)
茄子猫 - おとぎの孫だ〜!つくってくれてありかとう作者 (2020年2月8日 19時) (レス) id: 9df501902d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八重烏 | 作成日時:2020年2月1日 2時

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