第四十八話【帰る方法】 ページ28
「特務課と連絡がついたが......何かあったか?」
国木田が電話を終え、秋田達の元に戻って来た。しかし、太宰と私の間にただならぬ雰囲気を感じたのか、私達に訊いた。
「いえ、今、お話は終わりました。そうですよね。太宰幹部?」
秋田は太宰に目を向けながら言った。その言葉に対し、太宰は溜息をついた。
「元幹部だよ。まぁ、いい。それで特務課と連絡がついたって言ったね、国木田君」
「あぁ、そうなんだが......特務課に訊いても他に人物の入れ替わりの異能者はいないそうだ」
「そうでしたか......」
その話を聞き、周りの皆が肩を落とした。
「もう方法は無いの?」と鏡花が訊いた。皆んなが他の方法がないか考えていると、
「あっそういえば......」
敦が思い出したように声を上げた。
「乱歩さんの言っていた最終手段って何でしょうか?それを実行するのもAさん次第って言ってましたし......」
皆の視線が秋田に集まった。
「最終手段......ですか。もう此方にも居すぎましたし、そろそろ帰らないと行けませんね」
秋田はそう言って、少し溜息をついた。秋田自身も初めから帰る方法を知っていていた。しかし、敢えてその方法を使わないでいたが、こうなって仕舞えばその方法を使わざるを得ない。彼女もそれは重々承知していた。
「本当にやってもいいのかい? 乱歩さんもおススメしないと言っていたが......」
「損をするのは私だけです。それに皆さんには此方の私の方が性に合っているだろうし......私も此方側は居心地が悪いですからね。それならやらせていただきますよ」
「そうか......だが、どうやって戻るんだ?」
国木田が秋田に訊いた。
「それは勿論、企業秘密ですよ」
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作者名:トキハル | 作成日時:2019年11月17日 14時