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稽古場、休憩終わりか、皆、ストレッチしたりで集まって来てる。拾い部屋の一画に模擬の舞台スペースがあり、反対側に会議テーブルやら、人やら、何やら、ゴサゴサしてる。会議テーブルにはいつも浅田が難しい顔して陣どってる。かつては灰皿投げて役者をビビらせてたが、禁煙はじめてからは台本が飛んでくようになった。
「あれ？ 浅田さんは？」
居ないからそこらの人に聞くK。大野も居ない。
聞かれたそこらの人、あっちの稽古場、って、アゴで。
今皆が居るこの稽古場が一番デカいとこ。他に、廊下に沿っていくつもあるが規模は小ぶり。そのどっからしい。
「Kさん、この後、また、例のシーンでしょ。俺、さっき言った事やってみますから。」
K、わらいつつ、いいよって。
急に部屋の空気が締まる。
皇帝、浅田が来たらしい。
皆、私語止めてスタンバイ状態。
浅田、ドカッと定位置に座って、指示。大野居ないから、団同士の対立シーンから。
別室の大野。
呼ばれてやって来た。
待ってたスタッフ、
「おおのくん、衣装仮縫い出来てきてさ、浅田さんが試したいって。」
「え、はい。」
「コレ。どう？」
スタッフが衣装提示。
「・・・・・・あぁ・・・・。これかぁ・・・。マジか・・・・」
「やっぱり？」
ムムムムッと大野。
マリアの役だからオンナ衣装ってのは判ってたけど、いざ現物見ると・・・。
それに、この衣装独特っていうか。
フワッとしたゆるい生地。カラダにまとわりつくような。だから、動きが映えそう。大胆にカットされてる胸元。高い位置で黒い大振りビロードの薔薇が左腰に。そこに布が集められシュッと締まったシルエット。流れるドレープ。ふくらはぎかくれる程度のスカート。
薔薇以外は純白。
シルクを思わせる生地にわざわざレースの装飾。
凄く綺麗。
花嫁みたい？
「すげぇな・・・
「でしょ。浅田さん、今回のマリア、力入れてるからね。」
「でも・・・これ・・・かぁ・・・・」
スタッフ笑顔。
素晴らしい衣装だけど、コレ着るのが自分って考えるとちょっと・・・・。
「あと、コレ。」
スタッフが指差した鏡台前。
頭部だけのマネキン。かぶってるのは栗色のウイッグ・・・・。
大野、コトバ無い。
「で、コレね。」
さらにスタッフが示す。
パッド付きブラ。
大野、気絶。
ってか、フリーズ。
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作者名：ランプ
| 作成日時：2015年1月29日 9時
