スカウト 9 ページ1
隣のスタジオから賑やかな声。なんだろ？スタジオから笑い声？珍しい・・・・。
「何？」
親指でスタジオ指しながら、潤。
「あ、カメラテストしてる。」
「誰？」
「スカウトされたコ。」
「ふ〜ん。」
ドハハハハハ！！
今度は爆笑が響いてくる。
神経が逆なでされる。
潤、イラつく。疲れてんのに、うるせーな。トーシローがっ。ガキのくせに緊張感ネーのかよ！
潤、バッと立ち上がりそっちのスタジオへ。
扉を開ける。
撮影用幕の前に長身の男。
カメラマンの指示にあくせくしてる。
「そ、そうじゃなくって、手を、こう・・・こうやって・・・！」
カメラマン。
「え？ え？ 手？ こ・・・こう・・・？ あれ？ 手が絡まる？」
カメラマン、笑いが押さえ切れない。わらいながら、
「だから・・・(笑)っだからね・・・・
側の人たちも何故か笑顔。
カメラマンの要求に答えられないようじゃぁ失格だ。普通ならトーゼン。だけど、皆、それを楽しんでる感じ。素人相手だからって、それ、差し引いても、なんだ？ この雰囲気。カメラマンも、イラつくどころか、むしろ、のってる？
大体、モデル志望なんて五万と居る。
それを勝ち抜いてきたヤツは素人といっても既にこなれすぎてる。
アマチュア、なんて、この世に存在しないかのように。
いくら、街のスカウトだからって、・・・・・。
なんか、たるんでる？
なんなんだよ。
「マサキ、こうでしょ？」
もう一人居るらしい。
被写体になってる“マサキ”とやらに、判りやすく指示してる。
まるでスタッフ？
なんだろ。
おまけにいいオトコじゃん。
それに・・・。
しっかりしてる・・・・。感じ？
ワイワイ賑やか。
「松本くん、あれ、どう思う？」
潤の存在に気づいたスタッフが来て。
「なんか・・・。なんなんですかね。」
「掘り出し物だと思わない？」
「う・・・・ん。」
潤としてはライバルになるのに違いないが、不思議と受け入れる気持ちが働く。それに、さっきからの笑いのやり取り見てて、自分も笑顔になってる事に気が付く。浅田の所でくらった疲れと緊張感が取れてきている。
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作者名：ランプ
| 作成日時：2015年1月29日 9時
