赤毛の少年に拾われたっ！件 (ページ22)

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第7話ページ22

少年と町を出て1ヵ月。
すでに1つ目の町での生活も落ち着いた。
まだグラムガスランドとそう遠くはないはずだが、こちらの方がゆったりとした田舎町という風情だ。
特に目新しい情報もなく、穏やかな町に少年が退屈し始める今日この頃。

「ねぇA、そろそろ町移らない？」

「ん～...そうだなぁ...まぁ長居する理由もないし移るか」

「うんうん、そうしよう！」

と言うことは、宿代を稼がせてもらっていたバイト先に報告とお礼して、宿の女将さんにも言わないとな...。
他にやらないといけないことは...。

「次、何処に行こうか？」

「っ」

不意に少年が私の顔を覗きこむ。
自分の前髪が少年の額を掠めるほどの距離。
見上げられた金色の瞳が満月のように見えた。
思わず息をのみ体が強ばるのがわかる。

「ふふ、また僕の顔に見惚れちゃった？」

「...何度見ても少年の顔は綺麗だよ？」

「っ！？...あ、はは、ほんとAは僕の顔好きだよね？」

少年は自分から近づいたわりに、珍しく焦ったように後退った。
心なしか赤面している？

「なんだ、今さら照れたのか？」

「...そう、みたい...はは、何でだろうね」

「そっか」

自分でもいまいち理解できていないようで戸惑っている様に見える。
少年の反応が正直嬉しくて、わしゃわしゃと荒く頭を撫でた。
きっと少年はわからない。
それが気を許した相手だからということに。
つまり、ようやく少年は私に親しみを感じてくれたいるというわけだ。

「よーし、今日はお赤飯だな！」

「オセキハン？」

「豪勢に食べようってこと」

明日の出発にあわせて、お世話になったとこへ挨拶にまわる。
その帰りに市場でちょっとお高めの肉とか新鮮な食材をいくつか仕入れ女将さんに調理をお願いした。

「あ～食べた～」

「ごちそうさま」

女将さん、最後だからってほんとにすごい豪勢にしてくれたな。
バイトもしてたから所持金もたいして減らなかったし、何より少年にお金を払ってもらってないのだ。
お腹も満たされ、風呂にも入り、明日に備えて早めに布団に入る。

「お休みA」

「お休み」

一つの布団に二人で身を寄せるた。
宿屋なのだ、ベットは当然二つあるがこの1ヶ月、少年は同じ布団で寝ていた。
少年曰く「その方がよく眠れる」とのこと。
まだ14～5歳くらいで、一人で生きてきて、住み慣れた町も離れたのだから心細いだろう。

「(まだ子供なんだ、これ以上苦しい思いはさせたくない...)」