赤毛の少年に拾われたっ！件 (ページ19)

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第6話ページ19

自分は別段正義感が強いタイプではない。
ちょっと頑固で見栄っ張りで、適当で小心者なだけだ。
目の前に困った人がいていつも助けにいくわけではない。
ただ助けなかった後悔、というか罪悪感が嫌なだけだ。

「なっ！？」

真っ赤な血。
充満する鉄の臭い。
大柄な男性と、足元に顔が半分ない女性。
奥の路地には女の子。
きっと同じようにさっきの悲鳴で駆けつけたのだろう。
男の視線の先はその子に向けられていた。
女の子は持っていた縄をしならせ攻撃する。

「(凄い威力っ！でも...)」

縄は壁にめり込むほどの力を見せるが、男は悠々とかわしその縄を掴む。
一瞬のうちに男は縄を引いて女の子と距離をつめた。
男の膝が女の子の腹に打ち込まれ彼女は倒れこむ。

「(やばっ)」

地面にうずくまる姿にとっさに足が動いた。
かけより女の子を抱き抱えると引きずるように男と距離をとる。
さすがに抱えて逃げるには無理だ。
男と目が合う。
きっとこいつが、噂で聞いたジョン·ドゥ。

「見逃してもらえたら助かるんですが...」

「...」

無表情、無言。
何の反応も示さない。

「ゴホッ、あなた、だけで...も、逃げてっ...！！」

「そうできたらいいんだが...」

頑固で見栄っ張りでなので、自分よりも年下な女の子を見捨てて逃げるのはしたくない。
あとしたら後でどれだけ罪悪感に苛まれるか...。
混乱と後悔と、どうやって逃げるか、頭の中がぐるぐると回る。

「あぁ、貴方はそういう人だよね」

懐かしい声が空から聞こえた。

「しょうねん...？」

鮮烈な赤が視界にはいる。
そして血飛沫がとんだ。
どうやら少年が持っているもので顔を切られたらしい。

「あーあ、せっかくの計画が台無しだね、どうしてくれるのかなぁ？」

「...」

少年が男に切りかかるが、それを避けると後退しそのまま逃げていった。

「(追っても良いけど...彼女に怒られそうだ)」

「少年っ！/ヒソカっ！」

この子も少年を知ってる？
こちらを向いてにこりと微笑む少年にいくつも疑問が浮かんだ。

「やぁ無事かい？」

女の子がヒソカに駆け寄る。

「逃げられたけど、ちゃんと捕まるよね？...ヒソカ？」

彼女の言葉に少年は何も返さず、ただこちらをみていた。
その様子に彼女も何か感じたのか、私と少年を交互にみる。
言いたいこと、聞きたいことがありすぎて言葉が浮かんでは消えていく。
でもまず言わないといけないことがあった。

「お帰り、少年」

「うん、ただいまA」