赤毛の少年に拾われたっ！件 (ページ14)

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夜明けと共にもう一度あの惨状に足を進めた。

「っ」

昨日よりもいっそう強い死臭を漂わせカラスがその一部をつついている。
その光景に瞼を閉じゆっくりと息を吐く。
吐きそうな気持ち悪さを堪え、その肉塊の中に少年の姿を探した。
そして、やはりそこに少年の姿はなく心底安堵する。

「悪かったな、遺体を荒らして」

野盗とは言え尊厳を持つ人間、静かに手を合わせた。
そのあと全ての遺体を一ヶ所に集め、少年の見よう見まねで火を起こす。
燃え広がることはない荒野で、煙が上がる様子を遠くからみていた。
燃焼物がなくなり炎が鎮火したあとは穴の中に埋め、念仏を唱えられない代わりに黙祷を捧げる。

「ふぅ...腹減った...」

人としてやるべきことはやった。
死んだ証拠がない以上少年は生きていると信じる。
だから今自分にできることをするだけだ。

「さぁ、街に行くか」

仕事探しから始めよう。
この間自分でも働いたことがあるような建物の中で働く飲食業サービス業をメインに探したのが間違いだった。
人では足りていると断られてしまったのは記憶に新しい。
なら、人手を必要とするのはそれだけ活気がある場所、つまり市場だ。

「お願いします！働かせてください！」

市場の中でも私に対し何かしらの感情を持ってくれて人手がほしい露店、そう例えば今私が頼み込んでいる中年の女性が一人で切り盛りしているようなところ。

「力仕事でも何でも構いません、お願いしますっ！！」

困った表情をする女性に申し訳なさを感じつつ、こっちも生計のために引くわけにはいかない。
そうしてなんとか果物の売り子として雇用してもらえた。

「ありがとうございます！」

朝市場へ行き夕暮れまで、もしくは売り切れるまで店の手伝いをする。
商品の陳列、販売など、その辺りは現代のコンビニと同じような仕事だろう。
だんだんと雇用主の女性、店長とも打ち解け売れ残りなどをくれたりする。

「今日もお疲れさまでした！」

働き初めて2週間ほど経った今日、いつも通り日払いの給料を受け取った。
他の店の人とも知り合い、わりと充実した日々を送っている。
といっても箱に入った大量の果物を運んだりと体力を使い家につきご飯を食べれば寝支度を整え布団にばたんきゅーだ。
ただ、

「...ん、しょう、ね...ん...？」

その日は夢を見た。
少年が笑みを浮かべながら私の頭を撫でる。
そして彼は呟いた。

「もう、僕が養ってあげるって言っただろう？」