赤毛の少年に拾われたっ！件 (ページ10)

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第3話ページ10

あれから数日の時がたった。
ここでの生活にも慣れ始め、不自由さを感じなくつつある。
教えてもらった手品もようやくできるようになり、少年に披露するのもそう遠くない。
ただ問題は2つ。
アルバイトが見つかってないことと、

(少年大丈夫かなぁ...)

少年は毎日どこかへ出掛けては傷をつくって帰ってくる。
その傷がどんなものによるかは私では判断できない。
理由を聞いても少年は「遊びすぎた」といってはぐらかす。
おかげで手当てすることにも慣れてきた。

「ただいま」

「お帰り少年」

今日はそうひどくない。
口の端を切っただけのようだ。

「......」

「あなた、ボクを手当てするとき不機嫌だよね」

「...今日はどうして怪我したんだ」

「ちょっと遊びすぎただけ」

「だから不機嫌なんだ」

最初は気を付けるように注意したが、これ以上の干渉は少年に拒まれてしまった。
愛想の良い笑みを浮かべてはいるが心の壁が分厚い。

「なら、明日は街に行こう。それで機嫌を直してくれるかい？」

傷を消毒していた手に少年の手が触れ間近で見上げられた。

「バーカ」

「っ」

少年の額を指で弾くと驚いたように目を丸くする。
この少年は自分は拒んでも、息をするように人の心には入ろうとするのだ。
少年の性か処世術なのかはわからないがそう簡単にはさせない。

「街へ行くのは傷を治してからで良い」

今日の傷は大したものではないが、今までの傷でまだ痛むものがあるはずだ。
額をさすりなが少年はテンプレのように笑う。

「そう？」

「そうだ、だから怪我が治らないと不機嫌なままだぞ」

「それはすぐに治さないと」

ただ、少し怖いのだ。
少年が怪我をしてくるのは、本当に私を養う気で危険なことをしているんじゃないかと。

「あ、お土産」

「ん？」

「バンジーガム」

「少年これホントに好きだな」

「うん、大好きだよ」

自分も一つ口に放り込みトランプタワーを作り始める。
素早く、しかし精密に、トランプが重ねられていく。
しかし全て重ね終わるとすぐに少年の手によって崩された。

「なんか、崩すまでがセットって感じだな」

「...貴方って鈍いのか鋭いのかわからないね」

「誉めるか貶すかどっちかにしろよ」

「いつもは鈍いのにね」

「貶すな、そこは誉めるとこだぞ」

「ふふっ、ごめんごめん」

笑って話しながらも再びタワーが積み重なる。

「本当に器用だな、少年も誰かに教えてもらったのか？」

「...母が器用だったから」