Ep.9,,,枇杷の蜂蜜 ページ26
16時ぴったりに店の扉へcloseの板をかけた。
店内の清掃と材料のチェック。
いくつか在庫が少ないから今度各養蜂家さんに仕入れの連絡をしなければ。
「A」
「イルミ、どうかしました？」
「ヒソカが家の方にきてるんだけど」
「あぁ、先ほど今日は手料理を振る舞いたいと仰ってたのでお願いしたんです」
「は、何で？」
「それは...イルミ、貴方、ヒソカの手料理を食べたことないですか？」
うまい。
めちゃくちゃうまい。
ヒソカの腕は一流だ。
テーブルに並べられた色とりどりの料理にあのイルミでさえ思わず眼を見開いた。
「へ〜、ほんとにうまいなぁ...」
「だっろイルミ！遠慮せず食えよなっ！」
「...ボクが言う台詞じゃないかな？」
エプロンをはずし向かいに座るヒソカが苦笑する。
いつもの面子で、いつものようにふざけあえるこの瞬間はとても心地い。
「あ〜食ったぁ...」
夕食を食べ終わり、グラスといくつか置いてあるボトルの中から一本手に取ると私はベランダに出た。
イルミは仕事だと出かけ、ヒソカは後片付けをしてくれている。
風にあたりながらグラスに酒を注ぐ。
ヒソカと同じ金色の酒。
ミード、いわゆる蜂蜜酒。
「んっ....はぁ、うま...」
グラスを揺らしながら少し掲げると月の光が透けてキラキラと乱反射する。
「ボクにも一杯くれる？」
「お、ヒソカ、片付け終わったのか？」
「終わったよ」
「ならご褒美やらねーとな」
ヒソカが持ってきていたグラスに酒を注いだ。
甘い香りがさらに漂う。
「A、貴方こんなに良い酒を隠してたなんて知らなかったよ」
「ったりめーだろ、とっておきだわ」
「へ〜、今日開けて良かったのかい？」
「ばーか、うまい酒はなぁ、いつ飲んだってうまいんだよ」
「ふふっ、思いきりが良いね」
他愛ない話をしながら夜が更けていく。
気づいた頃には、酒が半分以上なくなっていた。
血液にとけたアルコールが体内をめぐる。
「なぁヒソカ」
「ん？」
俗にいう、酔った勢い、というやつだ。
気分が良くなった分、鬱憤を吐き出したくなった。
「お前が好きだ」
親愛は愛だ。
恋愛も愛だ。
友愛は？
「それだけで十分だろ？」
もちろん愛じゃない。
友達とは、相手を思いやる妥協と我儘を通す打算の上になっている。
しかし親愛のような自己犠牲を認めない。
恋愛のような相手の献身を求めない。
対等な利害関係は自己責任のもと、理想的で居心地の良い楽な関係だ。
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ユ - お、面白すぎる、、、！貴方様は物語を考える天才ですか！？ (2022年9月26日 16時) (
レス) @page31 id: ab3a56c6fc (このIDを非表示/違反報告)
むちょ - 言葉では表せられないぐらいとても素敵な小説でした！なんとも言えない空気感がとても好きです。 (2022年8月19日 1時) (レス) @page31 id: cded16a817 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - でぶきさん» コメントありがとうございます。 (2022年8月1日 20時) (レス) id: 8eeddf36f5 (このIDを非表示/違反報告)
でぶき - あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ (2022年6月26日 12時) (レス) @page28 id: 804c35253a (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ユウさん» そう言って頂けて嬉しいです。しかし、ごめんなさい、まだ完結していません。長く更新していないのでたぶん誰かが完結してるとしてしまったんだと思います。今は別の作品を進めているところです。またしばらくしたら更新していく予定です。 (2019年11月29日 0時) (レス) id: 8eeddf36f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：００ | 作成日時：2019年6月9日 0時
