。 ページ22
無理やり顔を上げさせられたヒソカは驚いたように眼を見開いた。
金色の瞳に彼を見下ろす自分が映るのがわかるほどの至近距離。
「...貴方は、本当に意地悪だ」
「わかりかねます」
ヒソカはおもむろに手を伸ばし私の頬を掠め髪に指を絡める。
私の髪から流れる雫がヒソカの指を伝った。
「貴方だって同じじゃないか」
「...」
「次は僕が拭いてあげるよ」
ヒソカと位置を交代し、今度は私が彼に背を預ける。
髪を拭く優しい手つきが心地良い。
「ねぇA」
「あ？」
「そろそろ貴方のことを教えてくれても良いんじゃない？」
「お前はそればっかりだな」
私の言葉にヒソカはその手を止める。
そして後ろから抱きすくめられた。
ヒソカの吐息が耳にかかる。
「そうだよ、僕はいつだって貴方で頭がいっぱいだって知っているだろ」
「おいおい、いきなりどうした、甘える歳はとうに過ぎただろうヒソカ”くん”」
まだ少し雨に湿る彼の髪を撫でた。
数年前と変わらない柔らかな赤毛。
スキンシップ過剰気味なのも変わらない。
「はぁ...貴方っていつもそうやって大人ぶってはぐらかす」
「お前より大人だからな」
「やだなぁ、僕ももう大人だよ？」
「わかってるよ。ってかお前、いったい何がしたわけ？」
「男がこうするのは当然好意のある女性を口説くために決まっているだろう？」
「ふーん」
「自分から聞いておいて生返事って...どこかの誰かに似てきたんじゃないかい？」
そのどこかの誰かは黒髪美人ながらも我儘で無表情で毒舌で重度のブラザーコンプレックスだったりするのだろうか。
おこ。
「はぁ、貴方って何しても動揺しないしつまらないなぁ」
大袈裟に腕をあげてため息をつくヒソカ。
とりあえずここまでの会話で二回ほど貶されたので名誉毀損で訴えたい。
「...私ヒソカのこと、好きだよ」
「うん、僕も貴方のこと好きだから、両想いだね」
「そうだな、だから」
「だから？」
「てめぇ、しばらくの間出禁だわ」
「今の流れでそう来る？」
「雨も上がったしそれ飲んだら帰れ。私は寝る、じゃあな」
Aが部屋をでたその後、ソファーに座るヒソカはぼんやりと天井を仰ぐ。
(貴方は本当に意地悪でひどい人だよ)
さきほどまで彼女を抱き締めていた腕にはまだその温もりがあった。
カップに注がれた紅茶はもう冷めている。
(僕が本気だと知ったら少しは動揺してくれるかい？)
ローズマリーの花言葉のひとつは「変わらぬ愛」。
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ユ - お、面白すぎる、、、！貴方様は物語を考える天才ですか！？ (2022年9月26日 16時) (
レス) @page31 id: ab3a56c6fc (このIDを非表示/違反報告)
むちょ - 言葉では表せられないぐらいとても素敵な小説でした！なんとも言えない空気感がとても好きです。 (2022年8月19日 1時) (レス) @page31 id: cded16a817 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - でぶきさん» コメントありがとうございます。 (2022年8月1日 20時) (レス) id: 8eeddf36f5 (このIDを非表示/違反報告)
でぶき - あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ (2022年6月26日 12時) (レス) @page28 id: 804c35253a (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ユウさん» そう言って頂けて嬉しいです。しかし、ごめんなさい、まだ完結していません。長く更新していないのでたぶん誰かが完結してるとしてしまったんだと思います。今は別の作品を進めているところです。またしばらくしたら更新していく予定です。 (2019年11月29日 0時) (レス) id: 8eeddf36f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：００ | 作成日時：2019年6月9日 0時
