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「あぁ、イルミ、お帰りなさい」
「ただいま、はいこれ」
「ありがとうございます、ご苦労様でした」
イルミから紙袋を受け取り、中を改める。
赤ワイン、苺、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックチェリー、レッドカラント。
買い忘れもなく、しっかり状態がいいものを選んでくれているようだ。
「何の材料だ？」
いつの間にかそばに来たクロロが袋を覗く。
「こちらはサングリアの材料でございます」
カウンターへ戻り下処理を始めた。
果物を洗い丁寧に水気を拭き取り、煮沸させた清潔な瓶に果物と蜂蜜を一緒に詰める。
普通は氷砂糖でするところだが蜂蜜でも可能だ。
「ほう...甘い酒か...」
「出来上がり次第期間限定でメニューにのせる予定です」
クロロは「それは次に来たときが楽しみだ」とお代をおいて店を出ていった。
その次の日。
「いらっしゃいませ」
いつもクロロが来る時間に姿を表したのは、
「フェイタン様」
またも黒い服装に身を包んでいる目付きの悪い少年。
彼がここに来るのはあの出会いの日以来初めてだ。
印象としては二度と来ないだろうと思っていた。
「ご注文は如何されますか？」
「ふん、ワタシがこんな甘たるい店に好んでくると思てるか？今日は団長の代わりに来ただけね」
団長ってクロロのことか。
「さようでございましたか、代わりとおっしゃいましたがご要望でも？」
「「いつもの」を持ち帰るよう言われたね」
クロロ、そこまでしてうちの珈琲とプリンを...。
店長としてはとても喜ばしい限りだ。
「承知いたしました。ご用意に少々お時間を頂くのでお好きな席でお待ちいただけたらと」
フェイタンは私の言葉に「ふんっ」と鼻をならし、不満そうに席へとついた。
そしてこちらを鋭い視線でじっと見つめる。
彼は甘いものを好まないようだが、少し食わず嫌いのようにも見受けられる。
それはあまりにもったいなく、あまりに───だ。
「フェイタン様、お待ちの間よろしければどうぞ。当店からのサービスです」
彼の前に珈琲とアーモンドの蜂蜜を置く。
「何のつもりね」
「お試しください」
「ワタシが飲むとでも思てるか？」
「さて？フェイタン様次第です」
探るように、疑うように私を見る。
私はその視線に気づかない素振りで仕事に戻るとフェイタンは毒味をするように僅かにカップへ口をつけた。
当然だが毒はなく、そうとわかるとカップをより傾け珈琲を喉へ流す。
「お好みでそちらの蜂蜜もどうぞ」
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ユ - お、面白すぎる、、、！貴方様は物語を考える天才ですか！？ (2022年9月26日 16時) (
レス) @page31 id: ab3a56c6fc (このIDを非表示/違反報告)
むちょ - 言葉では表せられないぐらいとても素敵な小説でした！なんとも言えない空気感がとても好きです。 (2022年8月19日 1時) (レス) @page31 id: cded16a817 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - でぶきさん» コメントありがとうございます。 (2022年8月1日 20時) (レス) id: 8eeddf36f5 (このIDを非表示/違反報告)
でぶき - あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ (2022年6月26日 12時) (レス) @page28 id: 804c35253a (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ユウさん» そう言って頂けて嬉しいです。しかし、ごめんなさい、まだ完結していません。長く更新していないのでたぶん誰かが完結してるとしてしまったんだと思います。今は別の作品を進めているところです。またしばらくしたら更新していく予定です。 (2019年11月29日 0時) (レス) id: 8eeddf36f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：００ | 作成日時：2019年6月9日 0時
