Ep.4,,,アキレアの蜂蜜 ページ11
「それで、どうしてここでイルミが働いているんだい？」
開店早々に入ってきたヒソカは目の前のカウンター席へ座った。
彼の視線の先には、髪を縛り店の制服に身を包むイルミの姿。
「ふん、さっさと帰ってくれる？」
「イルミ、お客様にそのような態度ではいけないと教えましたね？」
「は、ヒソカ相手になんて」
「ヒソカ「様」です」
「！」
カウンター下でイルミの足を踵で踏む。
頭が痛い話だが、イルミが働き始めたのはそもそも自分で契約の条件追加をしたからだ。
──は？しばらく仕事はない？ってことはお前ずっと家にいるのか？！──
──そうだけど、なにか問題ある？──
たった一日でイルミに貸した部屋は足場をなくした。
放置された衣服。
積み重なる本。
散らばるゴミ。
──この環境で生活できるのか...？──
──別に、どんなところでも関係ないし──
──今すぐ片付けろ！──
──は？どうやって？──
──えっ──
──え？──
イルミに生活力を求めた私が馬鹿だった。
というわけで、イルミの世話をする代わりに店で働いてもらうことになったのだ。
「それにしてもイルミ、ここの制服がとっても似合ってるよ」
ヒソカとイルミのやり取りを見つつ、その言葉だけは同意できると思った。
うちの制服はYシャツ、ベスト、タイ、ボトム、エプロン、靴、その全てを黒で統一している。
その制服を着て髪を一つにまとめているイルミは繊細でダークな美しさを醸し出していた。
なんて、珈琲や紅茶を溢してもわかりづらいから黒にしてるんだけどな。
「それで、ヒソカ様ご注文は」
「あぁ、今日は珈琲をストレートで頼むよ。あと、それとは別にアキレアの蜂蜜をもらいたい」
つまり、ヒソカは怪我をしているわけか。
「承りました」
サイフォンのフラスコにお湯を入れ、アルコールランプに火を灯す。
珈琲の準備をしている間にもう一つの注文、要望に使う蜂蜜を取り出した。
ヒソカがここにこれを取りに来るときは大抵が深手をおっている。
「イルミ、珈琲がロートからフラスコに落ちたら温めたカップに注いでください」
「わかった」
わざわざサイフォン式で珈琲をいれるのはその上下する様が見たいがためと言うのに。
蜂蜜の効果を高めるためにブレンドをするため今回は見れそうにない。
(アキレアと...ちょうどアロエの残りがあったな)
アキレアの蜂蜜にアロエの蜂蜜を混ぜる。
そして念を込めた。
(ヒソカの傷が治りますように)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 291人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユ - お、面白すぎる、、、！貴方様は物語を考える天才ですか！？ (2022年9月26日 16時) (
レス) @page31 id: ab3a56c6fc (このIDを非表示/違反報告)
むちょ - 言葉では表せられないぐらいとても素敵な小説でした！なんとも言えない空気感がとても好きです。 (2022年8月19日 1時) (レス) @page31 id: cded16a817 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - でぶきさん» コメントありがとうございます。 (2022年8月1日 20時) (レス) id: 8eeddf36f5 (このIDを非表示/違反報告)
でぶき - あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ (2022年6月26日 12時) (レス) @page28 id: 804c35253a (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ユウさん» そう言って頂けて嬉しいです。しかし、ごめんなさい、まだ完結していません。長く更新していないのでたぶん誰かが完結してるとしてしまったんだと思います。今は別の作品を進めているところです。またしばらくしたら更新していく予定です。 (2019年11月29日 0時) (レス) id: 8eeddf36f5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：００ | 作成日時：2019年6月9日 0時
