Ep8「飼い主Order」 ページ9
日常的な消耗品はあるものをそのまま使わせてもらうことにして、その他のものを買うことにした。
「とは言え必要なものって...」
「ん〜、服は必須だよね、後は簡単に家具があった方がいいんじゃないかい?殺風景よりその方が住み心地がいいだろう?」
「家具まではいらないと思うけど...」
「そう?君がそう言うならボクが勝手にキミの部屋の家具を選ぶよ?」
彼は私の返事を聞くこともなく家具店へと入っていく。
「最初はやっぱりベットかな......あぁ、これなんてどうだい?」
嬉しそうに振り返り私に同意を求める彼の後ろに見えたのは天蓋付きベット。
ピンクのレース、ピンクのリボン、ピンクのフリル。
いわゆるお姫様ベット。
「キミが選ばないならこれにするけど」
「自分で選ばせて頂きます」
「おや、残念」
いくらなんでもあのベットは許容範囲外だ。
その後、自分の意思でベット、机、椅子、小さな本棚、クローゼット。
「どれもシンプルだね」
「買って頂くのはありがたいんですが、ずっとお世話になるわけにはいかないので短期間生活できるくらいで大丈夫です」
「...ふーん...次は服選ぼうか」
「え、あっ、ちょ、ヒソカさん?」
私の手を取ったと思ったら、そのまま引かれて服屋の並ぶフロアへと向かった。
「さてと、女の子に服を選ぶのはボクも初めてだよ。何だか楽しくなってきちゃった」
楽しそうに口許を押さえる彼は無邪気に笑っている。
その笑顔は今まで見た中で一番自然な表情だ。
ただこの歳で女の子という表現はむず痒い...。
「あ、これとかどうだい」
(さっきと同じくだりだ...)
ヒソカさんが私に見せたのは使えるTPOが思い浮かばないフリルにレースにリボンの服。
「いえ、もっと日常的な、tシャツとかジーンズとかでお願いします」
「それは面白味に欠けないかい?」
「服に面白味を求めないでください」
「...それじゃあ、一式だけボクが選ばせてもらうよ」
ヒソカさんは店内を一通り歩いたあと何着か服を持ち戻ってきた。
そして私をフィッティングルームへ押し、手に持っていた服を渡してくる。
「サイズはあってるはずだから」
「あ、はい...(何で知ってるんだろう?)」
色々と疑問に思いつつも、渡された服を試着した。
真っ白なブラウス、グリーンのレイヤードフィッシュテールスカート、カーキのウェッジソールサンダル。
「センス高い...」
決して趣味の悪くない彼がどうして最初にあの服を推したのか謎だ。
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作者名:00 | 作成日時:2019年5月25日 12時