Ep25「降るThirdStage2」 ページ26
「それで、続きは？」
三次試験のゴール地点にはすでにヒソカさんがおり、ようやく再開することができた。
しかし喜んだのもつかの間、ヒソカさんの肩と脇腹に大きな出血痕を見つけ顔が青ざめる。
聞いたところ「手品の血糊だから大丈夫」とのこと。
とてもリアルではあるが、出血具合や傷の大きさに対して当の本人は何事もないように笑っている。
(こんなに血糊を使う手品って何だろう？)
違和感はあるものの納得することにした。
「傷はないようだから殴られてはないんだよね？」
「彼が助けてくれたので」
返事と共にそう遠くないところに座る301さんを見る。
「そう、安心したよ。詳しく教えてくれるかい？」
「はい＿＿＿」
＿＿＿心臓がドクドクと激しく強く脈打っている。
暗闇の中来るであろう痛みに体を強張らせた。
しかしいつまでたってもそれはやってこない。
私は恐る恐る目を開くと301さんの背中が見える。
「え？」
彼は男の拳を受け止めていた。
(カタカタカタ)
「ひっ、何なんだお前...！？」
何かに怯えるように男は小さな悲鳴をあげて腕を振り払うとその後は大人しくなった。
誰も動けずにいると彼は私にジャンケンの続きを促すかのように背中を優しく押す。
(カタカタカタ)
「...わかりました、続きを始めます」
残りの3人とも数回のジャンケンを経て、ようやく全員に勝利した。
私達は扉の前に立ち開くのを待つとまたも放送が流れ、その内容は私もジャンケンで負けたのなら倒されたとみなし挑戦権を失うのでは、というもの。
それに対し私は、
───ここで指定されたのは「彼らを倒すこと」のみ。
彼らは「勝負に負けた=倒された」であるが、挑戦者の私達に対する条件は出されていないので「勝ったか勝ってないか」で「勝ったか負けたか」ではない、よって「勝負に負けた」という概念がない。───
とかなんとか屁理屈を並べて見事ゴール。
扉をくぐりクリアタイムの放送後、彼へと頭を下げた。
「ここまでありがとうございました」
そして私はヒソカさんを見つけ冒頭に戻る。
「ふふっ、君がそんなに理屈屋とはね」
「ここはそういうものだと思ったので...」
トリックタワー、要は脱出ゲームと思っていた。
頭を柔らかくして問題に取り組むのだと。
「まぁ、無事合格おめでとう」
「はい、ヒソカさんもおめでとうございます」
その後は二人ではババ抜きを始め、途中から301さんも加わり楽しい一時を送ったのだった。
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作者名：００ | 作成日時：2019年5月25日 12時
