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Ep17「密室Flight」 ページ18

イルミさんが見送ったあの日から一週間。
書斎の本は大方読み終わり、今はリビングで寛いだり、ハンター文字で日記を書き始めたりと新たな試みをしていた。
少し変わったとすれば、あの日から以前よりもヒソカさんが甘やかそうとしてくることくらいだろう。
そして、今日は、ついにあの試験へと向かう日だ。


「空港から飛行船で会場に行くけど、乗り物酔いとか大丈夫かい?」

「飛行船は初めてですけど、乗り物で酔ったことはないので多分大丈夫です」


鞄に簡単な着替えともろもろを詰めた。


「じゃぁ、行こうか」

「はい」


聞くところによると、試験会場までは1日かかるらしい。
しかし飛行機とは違い、ホテルのような部屋でそれぞれが休めるようになっている。


「これがキミのカードキー。何かあれば部屋は隣だから」

「わかりました」

「昼食はラウンジとルームサービス、どっちがいい?」

「せっかくなのでラウンジがいいです」

「OK、じゃあ12時にラウンジで会おう。それまではAの自由に時間を使って」

「はい、またあとで」


ヒソカさんと別れ自室にはいる。
それから荷物を置き船内へと繰り出した。
窓の外を見なければ空を飛んでいるとは思いもしないほど快適だ。
乗客は今のところ目にしないが、みんなどこにいるのだろう。
待ち合わせの時間まで船内を歩き回るが、乗客は見かけなかった。


「船内はどうだった?」


昼食をとりながら船内で見たもの、感じたことを一つずつ話していく。


「そういえば他の乗客が見当たらなくて」


今もラウンジには私とヒソカさんのみ。
ラウンジに並べられた多くのテーブルには誰一人座っていない。


「あぁ、それはそうだよ。この飛行船に乗客はボクとキミしかいないからね」

「え?」

「大勢の船内はまだキミは慣れないかと思ってさ」

「あ...そ、そうだったんですか...」


どうやら私もことを気遣ってのことらしい。
嬉しくもあり、それで貸しきりにされるのは申し訳ない。


「ありがとうございます、ヒソカさん。でも少し大袈裟ですよ、私は大丈夫です」

「そう?なら、次は普通にしよう」


ヒソカさんはにっこりと笑みを浮かべた。
やはりヒソカさんは私に対して優しいを通り過ぎて甘過ぎる。
もともと優しく親切であったが最近はその優しさが少し怖く感じる時があった。


「そうだ、食べ終わったらボクの部屋へおいで、暇潰しに手品を見せて上げるよ」

「わかりました、少し部屋で休みたいのでその後に伺います」

Ep18「仄くSymbol」→←Ep16「氷解Melancholy」



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作者名:00 | 作成日時:2019年5月25日 12時

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