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Ep15「不意打ちOffer」 ページ16

「あ、Aちょうどいいところできた」


リビングにはいる扉を開けたまま立ち尽くす私の手をイルミさんが引き寄せる。


「仕事終わったら行くから支度しておいて」

「え」

「イルミ、彼女も驚いているみたいだけど?」


ヒソカさん呆れたような視線をイルミさんに向けた。
私も説明を求めるように隣に立つイルミさんを見上げる。


「昨日「是非いきたい」って言っただろ」

「......あ、あ〜、言いましたね、確かに言いました」

「ほら、そういうこと」

「でも、あれは、パドキア共和国のお話を聞いて機会があったらと」

「うん、だから機会があるから来ればいいだろ?」


イルミさんは「何が問題かわからない」というように頭を傾けた。
パドキア共和国に行ってみたいというのは本心だが、あまりに急すぎる。


「イルミ、キミってそういうところあるよね」

「は、意味わからないんだけど」

「Aが困ってるの気づいてる?」


ヒソカさんの言葉にこちらを見下ろしたイルミさんと視線が合った。
厚意で誘ってくれているイルミさんに、慎重に言葉を選ぶ。


「私はようやくここになれてきたばかりで、今すぐここを離れるのは不安です」


それと、ヒソカさんにお世話になっているのにお礼もできず遊びに行くのは気が引ける。


「...ねぇA、ボクも一緒だったらどうだい?」

「「え?」」


イルミさんと声を揃えてヒソカさんを見た。
ヒソカさんはまるで面白いことを思い付いたというよに笑い人差し指を自分に向けている。


「もちろん今すぐじゃない。試験が終わったあと息抜きも兼ねてイルミのところにお邪魔する」


「それならどうだい?」と聞かれ、私の答えは決まっていた。
しかし、それでイルミさんはいいのかとまた彼を見上げる。


「ん、俺はどっちでも構わない」

「っ!、あ、じゃぁ、ぜひお邪魔させてもらいます!」


イルミさんへと勢いよく頭を下げると、少し触れる程度に頭を撫でられた。


「え?」

「おや、ボクの役目を奪わないでくれるかい?」

「何のことかわからない」

「ふふっ、A良かったね」

「はい、ヒソカさんもありがとうございます」


ヒソカさんにもお礼を言うと「よしよし」と頭を撫でられる。
彼には甘やかされっぱなしだ。
それから昼食後に仕事をして帰るというイルミさんを見送った。


「イルミさん良い人でしたね」

「そんなこと言うのキミぐらいだよ」

「ヒソカさんも良い人です」

「...それも言うのはキミぐらいだ」

Ep16「氷解Melancholy」→←Ep14「朝食Triangle」



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作者名:00 | 作成日時:2019年5月25日 12時

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