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翌日、クロロは約束を守ってはくれた。
「こんな少量を分けてどうなる。お前の世話をすると決めたんだ、お前が食え」
「嫌だ、私だけ食べるなんて申し訳ない。クロロが食べないなら私も食べない」
「俺は食わないことに慣れている。さっさと食え」
「なら私だって食べないことになれないといけないから、クロロが食べなよ」
「お前は、ああ言えばこう言うな」
「クロロだって意地っ張り」
朝、広間にて私たちの声が響く。
私とクロロがバチバチと睨み合っているのをメンバー達が呆れたように見ている。
其の様子に見かねたのか最初に仲裁に入ったのはノブナガだった。
「おいおい、おめぇらいい加減にしとけよ」
彼はため息を吐きながら私達の近くに自分のパンを少し千切る。
それを真似てマチとパクも同じようにパンの欠片を置く。
「マチ、パク、悪いな。おめぇらこれぐらいあれば二人で食べてもなんとかなるだろ」
「いや、受け取れない。それはお前達の分だ」
「そうだよ、みんなにこれ以上迷惑かける訳には」
「はいはい、そう言うのは良いから。悪いと思うなら今日の食料調達頑張ってちょうだい」
「マチ...わかった、みんなすまない」
「みんな、ありがとう」
二人で席につき食べ物を分けあった。
ここにいる彼らはきっと今までも他人には不干渉な様でこうして助け合ってきたのだろう。
「頂きます」
食べ始める前に手を合わせる。
その行為をクロロは不思議そうに眺めていることに気づいた。
「なぜそれをするんだ？」
「これは、感謝を示しているんだよ」
食べる前に、目の前に出された食べ物に関わった全ての人や命を失った生き物に感謝をする。
本当に感謝の気持ちを込めてと言うよりは習慣的なものだが、今食べようとしているのは今日皆の糧になるはずだったもの。
だから心の底からの「頂きます」だ。
「お前のいたところはずいぶんと”綺麗な”ところだったんだな」
「うん、かもね。でも、ここと変わらない」
他人に僅かな食料を分け合う。
その心はこの上なく”綺麗”だ。
「クロロも、ノブナガも、マチやパク、皆、皆私には綺麗に見えるよ」
「恥ずかしいやつだな」
「...ふっ、最初に出会ったのが、落ちた先がクロロで良かった。私は幸運だった」
「ここに来たことが幸運とはな。お前は一緒にいて飽きそうにない」
クロロと目が合い二人して笑ってしまう。
その様子を離れて見ていたメンバーもその口許に笑みを浮かべていた。
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作者名：００ | 作成日時：2019年6月24日 13時
