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「フェイタンさんとフィンクスさん、こんばんは」
仲間とやっとで生きてる世界に突然やって来た私を受け入れてもらうのはそう簡単ではない。
彼らが私を疎むのは自然なことだが、ここに来るということは私に用だろうか？
「ここでの暮らしは甘くねぇってのがわかっただろ」
「そうですね、甘くはないです」
今日だけでも私はくたくたで先ほども弱音を挙げていた。
でも、”強がるためには自分の弱音を自覚しないといけない”。
嘘でいい、虚勢でいい、誰かの真似でもいい、頑張れるならそれでいい。
「だから明日は今日よりもいいものを見つけないと、ですね」
「...口だけはたしゃのようね」
「まぁいいじゃねぇかフェイタン、言うだけは簡単だからよ。だがな、お前がいるだけで気に食わねぇことがあんだよ」
「何ですか？」
「お前、朝食ったもん覚えてるか？」
───かけたグラスに半分ほどの水と、乾いて固くなった一切れのパン。───
もちろん覚えている。
「あれはな、クロロの食料だ」
「はっ、クロロはお前に食わせるために自分は食べてないね」
フィンクスさんとフェイタンさんが言っていることはたぶん本当だ。
いきなり来た私の分の食料を賄える訳がない。
考えれば分かることだったが、お腹減ってたし自分のことで精一杯だった。
二人は他にも何か言っていた気がするが聞かずに部屋を出る。
「あ、A、フィンクス達がそっちに」
「シャルナークさん、クロロはどこです？」
「え、自分の部屋だと思うけど」
「ありがとうございます」
教えられていたクロロの部屋へ向かった。
廃材の散らばる部屋にはいるとクロロは私にも気付かず月明かりを頼りに窓際で本を読んでいる。
「クロロ」
「Aか、どうした？」
こちらを向くクロロに歩みより私を見上げる彼の顔めがけて手のひらを振り上げる。
しかし、
「っ！」
「どういうつもりだ」
私の手は彼の頬をはたく前に、彼の手によって止められた。
「私に嘘をついた」
「嘘？...あぁ、あれのことか、お前についた嘘はまだあの一つだけだからな」
「...」
「これは嘘じゃない、朝飯のことだろ」
「そう」
彼に捕まれた手首を引いても押してもびくともしない。
クロロは口許にもう片方の手を添える。
「お前は何を怒っているんだ？」
「ご飯をくれたことは礼を言う、けど」
私が空腹を満たす時にクロロは空腹だった。
「嘘はやめてほしい」
優しい嘘でも、嘘は嘘だ。
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作者名：００ | 作成日時：2019年6月24日 13時
