Free Fall Drop

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「ここだ」

見るからにホラースポットのような廃墟。
普通に怖い。

「足元に色々転がってるか気を付けろよ」

「うん...」

クロロが手を引きゆっくりと中を進んでいくと揺れる灯りが見えた。
通路を抜けた先、広間のような部屋に数名の男女がいる。
クロロと共に部屋へ入ると視線が集まるのがわかる。

「遅かったなクロロ、で後ろのやつは？」

細身の浴衣を着た男性が一番に口を開く。

「いきなり俺に落ちてきてな、面白いからつれてきた」

「ふーん、見ない顔だけど、新参なの？」

「あぁ、しばらくは俺が世話をする。そのあとはこいつ次第だ」

ピンク色の髪が印象的な少女。
彼女も警戒しているようだが、他の人に比べるとその視線は鋭くない。

「A、こいつらが俺の仲間だ。右から───」

総勢8人の紹介を受け、とてもじゃないが覚えられない。
浴衣の男性がノブナガ、ピンクの女の子がマチというのはわかった。

「その顔は覚えられないって顔だな」

「ちょっと記憶容量が足りなくて」

「嘘つけ、むしろ空っぽだろ」

クロロは意外と毒を吐くらしい。

「ほら、お前も」

「あ、そっか、Aです。しばらくの間よろしくお願いします」

テンプレートの一言とお辞儀をする。
頭をあげると、なぜかみんなポカンとした表情を浮かべていた。

「あれ？」

「ふっ、物珍しいのさ。ここにはそんなことをする奴はいない」

そんなことというのは、挨拶のことだろうか。

「まぁ、悪い奴じゃなさそうだね、よろしくA」

ピンクの少女、マチが近づいてきて笑いかけてくれる。
印象としては姉貴肌なタイプだ。
マチを皮切りに数名が私に歩み寄る。

「私はパクノダ。パクでいいわ、よろしく」

「俺はノブナガだ。ここでの生活は楽じゃねぇからな、ま、気張れよ」

「俺はウヴォーギンだ。お前、弱そうだが大丈夫かよ」

「俺はシャルナーク、初めは大変だろうから頑張ってね」

言葉を交わしたのは4人。
パクさんは落ち着いて知的な女性だ。
ウヴォーギンさんは笑い方が豪快で叩かれた背中が割りと痛い、あとアフロ。
シャルナークさんは爽やかな顔をしているが少し腹黒い発言だ。

「はい、よろしくお願いします！」

再度頭を下げると「緊張するな」と笑われる。
よかった、少なくとも4人には歓迎されていると思ってもいいだろう。

「俺は賛成できねぇな」

「フィンクスの言う通りよ、ワタシも反対ね」

明らかな警戒と敵意を二人から向けられた。