オッドアイ少女の観察 (ページ19)

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第304話紫苑の過去────Prolog ページ19

ハルヤ｢【狂気の血染め桜】…それは紫苑様のもう1つの名前｣

島之内｢紫苑様は…【戦闘狂の桜姫】では無いのですか？｣

ハルヤ｢まぁ、最後まで聞け。昔、紫苑様は地下に“カンキン”されていた｣

島之内｢っ！｣

ハルヤ｢幼くして直ぐに地下牢に閉じ込められていた。また、その時は朱夏様は自分に姉がいることを知らなかったのだ｣

島之内｢……それでは……何故朱夏様は姉を知ったのですか？｣

ハルヤ｢親に昔から言いつけられていた。『地下に一人、生贄と食べ物を備えないと我が一族は滅ぶ』…朱夏様はそう教えられていたそうだ｣

島之内｢なるほど…｣

ハルヤ｢しかし、朱夏様はまだ幼かった頃、興味本位で地下牢へ向かった。そこで姉を知った。だが、姉は朱夏のことを知らない｣

島之内｢………｣

ハルヤ｢そして、幼くして直ぐに地下牢に閉じ込められていた紫苑様は心壊をしていた。その時の紫苑様は狂気に満ち溢れていた。

しかし、朱夏様は紫苑様を1目見ただけで自分の姉だと分かった。だが、紫苑様は目に付くものを全て破壊しようとしていた。自分の妹の朱夏までも…｣

島之内｢それでは、何故紫苑様は正気に戻られたのですか？｣

ハルヤ｢朱夏様が妖魔界を統治することになり、紫苑様を地下から連れ出した。その時の紫苑様は、成長していた｣

島之内｢なるほど…。しかし、何故妖魔界を統治することになってからなのですか？｣

ハルヤ｢朱夏様が地下牢へ行ったことを親が気づいたらしいのだ。その後は地下牢へ行くことも出来なかったからだ｣

島之内｢そういう事でしたか…｣

ハルヤ｢朱夏様に連れ出された紫苑様は目に映るもの全てに感動していた。そして、その後の紫苑様は朱夏様と共に妖魔界を統治していた。

紫苑様は昔の名残りで戦闘にはとても強かった。しかし、頭脳も良かったのだから朱夏様を支える完璧な役割だった。話はこれで終わりだ｣

島之内｢……紫苑様にそんな過去があるとは思いもしませんでした……｣

ハルヤ｢さて、それじゃあ俺達はそろそろ帰るとするか。明日のこともあるからな｣

島之内｢はい｣

そう言ってハルヤと島之内の立ち去る。

一星｢紫苑…？朱夏…？あいつら…一体何者なんだ？｣

立ち去る2人の背中を一星はただ見つめるだけだった。すると…

A｢ん…？｣

Aが目を覚ました。

Noside fin