二週間後の中間考査で、赤点を取った場合、部活停止とする! ページ37
一同はがっくりした。
「そういう、オチね……。
でも、私は樹くん、いいと思った!」
「せいかさん?」
「……自分が主役じゃなくて、人を、合唱として輝かせる歌い方なんて、考えたこと、なかったもん、私……」
樹は軽く赤面した。
「ふふっ、オレはギタリストだからさ。主役はボーカル、でいいんだよね。
だから、歌う気はないってのに、歌手デビューとか、遠回しに勧められてるし……」
「そうなんだ。ま、同じ部活だし、今度、ギター、聴かせてよ!」
「うんー、って聴いたことない扱いなわけね。ほんと、せいかさん、おもしろいなぁ」
好調な滑り出しのDTM部。
「始めはコンポーザーのオレひとりだったのに、せいかに、レーレに、ピアニストに、ギタリストか。順調に集まってるな」
「役職で呼ぶな」
すぐさま龍華がつっこむ。
「オレはどう呼ばれても構いません。
夜陣さんになら!」
樹はのりのりだ。
せいかが夜陣に訊いた。
「次は誰を部活に引き入れるつもり?
楽器演奏者にこだわるなら、ドラマーとかベーシストとか?」
「それってー、もはやDTM……デスクトップ・ミュージックの域を超えてるよーな……」
レーレが嫌味っぽく言ったが、夜陣は機嫌よく答えた。
「いいじゃねーか、オレはどんな領域も越えていく男だ」
せいかが突っ込んだ。
「ちょ、聞いてる方が恥ずかしくなるセリフ、ちょいちょい挟まないでくれる?」
そうは言いつつも、DTM部の五人が和気あいあいとやっていると、すごい勢いで、部室のドアが開いた。
「龍華優雅はいるかぁー?」
立っていたのは音楽恐縮、黒川だった。
「いまーす」
龍華は普通に返事したが、他の面々は黒川を何となく睨んだ。
「おいおい、睨んでくれるなよ……。せっかく顧問が指導しに来てやったというのに」
「顧問なのか?!」
「夜陣くん、そうなの?!」
「そうだぞ」
けろりとした顔で述べる夜陣。
「じゃあ、自分の部活の部員の龍華にあんな態度だったってわけ?
ひどくねーか」
レーレが吐き捨てた。
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作者名:ルスブ | 作者ホームページ:http://twitter.com/rusbsss
作成日時:2022年9月9日 10時