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「誰、」
不機嫌そうな顔で出てきたのはくるみちゃんの彼氏。
よれよれのスウェットを着て、
いかにも同棲してますという感じ。
「..こんばんは、松田です。」
「ああ、キミが松田くん？」
恐る恐る挨拶をするおれにスカした顔でそう言った。
「くるみちゃんお酒飲んだら寝ちゃって、そんで、1人じゃ帰れそうになかったんでおんぶしてきました。」
「え、酒飲んだの？」
「すみません僕が..」
彼氏さんはドアにもたれかかったまま
ハァ、とため息をついて
「降ろしてもらっていい？」
とおれの背中で眠り続けるくるみちゃんを
指差して言う。
「くる、起きて」
「..ﾝ..うみくん？」
寝ぼけた彼女をお姫様抱っこして
寝室に連れて行く姿を玄関からただ見てるだけのおれ。
チラリと覗く生活感は胸の奥をずっしり重くさせる。
“うみくん”と呼ばれている彼氏が
くるみちゃんを運び終わって玄関に戻ってきた。
「ありがと、送ってくれて」
気持ちのこもってない形式上のお礼をされる。
「いえ..飲ませた僕が悪いんで」
「うん、それはそうだね」
「……ｽﾐﾏｾﾝ」
「うそうそ、冗談(笑)」
下を向いて笑う彼がスッと顔を上げて言う、
「でも、あんまりからかわないでくれる？」
おれは言ってる意味がよく分からなくて
黙ったまま“うみくん“の顔を見つめた。
そして、ハテナを浮かべるおれの顔に気づいた彼は
あ〜..と言いながら自分の後頭部をくしゃくしゃして
「気があるよね？くるみに」
と言った。
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作者名：生活 | 作成日時：2021年2月24日 12時
