駆け抜けて、恋 (ページ3)

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青い瓦屋根の小さなアパート。

築数十年、わたしたちより年上で2人で住むには丁度良い広さ。

朝から響く

一定のリズムを刻む2人分の寝息と、

鳴っては消えての繰り返しのアラーム音。

ハッと起きたわたしは時計を確認して、すぐ隣で寝るうみくんを叩き起こした

「遅刻！」

「..ん....」

寝ぼけたまま半ば強引に並んで歯磨きをする。

へんてこな寝癖のついたうみくんを見て笑うと鏡越しに目が合って、

それに気づいた彼がわたしの頭をぐしゃぐしゃした。

ドタバタ鞄に教科書を詰め込む。

うみくんはというと、とっくに支度を終わらせ玄関の鏡の前でテキトーに髪の毛をセットしている。

型板ガラスに反射した朝の光にパラパラ照らされる彼が、かっこよくて見惚れてしまう。

「かっこいいです今日も..」

「あ～ハイハイ」

呆れた顔でそう答え、靴を履きながら

「ほら、置いてくよ」と意地悪な顔をした。

アパートの外の鉄骨階段を駆け降りる。

大学まで走って10分。

ギリ、間に合う。

わたしの鞄も持ちながら前を走るうみくんに手を引かれ、桜の道を駆ける。

春の匂いと、タバコと香水がフワッと混ざる。

甘ったるくて溶けそう。

授業開始5分前、なんとかキャンパスに滑り込んだ。

「ん、カバン」

「ありがとう」

「じゃバイト終わり迎えに行く」

そう言って学部が違うわたしたちは別れた。

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