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「店長がもう帰っていいって〜」
元太くんがお店から出てきてそう言う。
「はいこれ、くるみちゃんの荷物」
ひょい、と渡されたカバンをお礼を言って受け取った。
「んで、彼氏さん迎えくんの?」
「今日はうみくんもバイトだから..」
「..じゃあちょっと待ってて」
裏口にもたれかかり言われた通り待っていると
表の道から自転車に乗って現れた元太くんが
「乗りな!」
と、後ろの荷台をトントン叩きながら言う。
「え..あぶないよ..わたし重いし..」
パッとしない言い訳で断るわたしを見て
「おれと一緒に帰るのやだ?」
困った顔の元太くんが首を傾げた。
「あ、ちがうのそうじゃなくて..」
「じゃ決まり!はやく乗って!」
う〜ん..またこの人のペース乗せられた..
そう反省しながら座る荷台はひんやり冷たい。
「こわい?」
「うん」
「信用ないなあ笑」
「だって自転車とか乗らなさそう..」
「いっとくけどおれ超上手いべ?」
そんな会話に2人でケタケタ笑っていたら
しっかり捕まってくださ〜い、と言って
わたしの腕を掴みお腹の前に回す。
加速していく自転車に揺られながら
眺める帰り道はなんだかいつもと違って見えた。
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作者名:生活 | 作成日時:2021年2月24日 12時