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あいつにはこんな仕事してほしくない。
危険をおかさせたくなかった。
だから武州に残るときいたときはホッとしたのに…。
A「十四ろ…土方さん!!!」
鈴のような綺麗な声で俺を追いかけてきやがった。
俺は無視して早歩きをする。
A「まっ!きゃあ!」
違う歩幅を無理に合わせようとしてつまづくA。
土方「おっと…。」
反射的に支えてしまった。
土方「あぶねぇだろ。」
ぶっきらぼうに言ってタバコに火をつけた。
A「やっとこっち見てくれましたね。」
俺をじろじろ見てくる。
A「タバコ…吸うんですね。後、綺麗な髪も切った。」
土方「最後に会ってから何年経ってると思ってるんだ。」
A「そうですよね…。今の土方さんも素敵ですよ。」
土方「結婚するんだって?」
A「はい…。婚期が遅れたから誰も貰ってくれないと思ってたんだけど…。」
土方「知らねぇよ。んなの。」
こんなに良い女の婚期が遅れる?
もしかして俺の帰りをずっと…。
聞きたくても聞けるはずがない。
A「道場守るのに忙しかっただけですよ。顔に出すぎ。」
昔から俺の理解者。
土方「バカかてめぇは。勘違いしてんじゃねぇよ。」
A「はいはい。私も土方さんみたいに髪の毛切ろうかな。」
土方「やめろ。」
Aの髪をサラリと撫でた。
A「十四郎さん…?」
土方「髪は切るんじゃねぇぞ。」
A「は、はい…。」
何で俺は止めたんだろう。
何で俺はこいつの髪の毛を触ったんだろう。
分かってる。
でも、そばにいてくれるこいつに甘えられないことだってもっと分かってる。
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作者名:るる | 作成日時:2021年12月28日 15時