26 ページ26
荒北靖友視点
A「私の事避けてるわけじゃないみたいですね。」
昨日Aちゃんにメールで呼び出されて一緒に昼飯を食う。
荒北「避けねぇって言ったじゃなぁい。俺また何か怒らせたぁ?」
A「いえ…。」
最近部活のレースで福ちゃんと組むようになってから練習量を更に増やした。
インハイに行く。
俺には自転車しかねぇからだ。
その分Aには不安にさせてるのかもしれない。
まぁ付き合ってるとかそういうんじゃねぇけど…。
荒北「俺さぁ、中学の時野球やっててピッチャーだったんだ。怪我して辞めてかなり尖ってた。高校は野球部がないからって理由で箱学に来た。でも毎日毎日しょうもなくて学校辞めようと思ってた。そんときに福ちゃんに、自転車に出会ったんだよ。必ずインハイに行く。福ちゃんの作る最強のチームに俺ははいんだ。」
初めて話した。
野球やってた話しもインハイに行く理由も。
A「そうですか…。荒北さんこんなこと言われるのも嫌いだと思いますし、私も人にこういう言葉を言うのは本当は嫌いですが…頑張ってください。」
微笑んでそう言うAは綺麗だった。
荒北「あんがとな…。聞いてくれて…。」
照れ臭くて顔を伏せる。
A「見に行ってもいいですか?今度の日曜のレース。葛西さんに誘われているんです。」
荒北「おー、来いよぉ。終わったらベプシ一緒に飲もうぜ。」
A「はい。」
嬉しそうに笑うA。
どんなに練習が大変でもこの顔を見る時間は作らなきゃと思った。
荒北「Aの言う通り、俺頑張れって言葉嫌いなんだよ。おめぇが頑張れって心の中でいつも突っ込んでる。傍観者がってなぁ…。だけど頑張れって言われんのもAからだったら悪くないじゃなぁい!俺が1番に福ちゃんゴールに届けっから見とけよ!後でけぇ声で応援すんだ!」
A「お、大きい声ですか…?」
荒北「そうだ。お前はそこをがんばんだよ。」
A「分かりました。」
少し気難しい顔をしているがただ見に行って応援だけなんて俺のひねくれた性格を知ってるこいつには気がひけるだろう。
だから応援してくれ。
俺の事を誰よりもでけぇ声で。
47人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るる | 作成日時:2021年9月27日 23時