…SHORT STORY…♯2

秋：SHINee ON ページ48

秋って嫌いだ









「どうして？」と、男のくせに私の少し斜め後ろを歩く彼に聞かれた









「なんか、はっきりしないじゃない？暑いんだか寒いんだか…着る服も迷う」



「そうかなぁ…僕は好きだけど」



「ジンギはおしゃれだもんね」



「Aだって、おしゃれじゃなくはないでしょう」



「おしゃれだって言ってよ」



「＾＾」







少し振り返ったら、笑ってる



またその笑顔で誤摩化すんだから



腹立つ







「とにかく曖昧なのが嫌なのよ」



「へー」



「まあそれはいいんだけど、どこに食べに行く？食べたいものある？」



「じゃあさ」



「うん」



「僕らの曖昧な感じもやめようか」



「…は？」






振り返って、それから立ち止まると、



にこっと笑う彼も止まる



本当は知ってる



私より断然歩くの早いくせに、私のペースにそうやって合わせてるとこ



話聞いてないようで、ちゃんと聞いてるとこ



でもたまに、本当に聞いてないとこ



今みたいに私の目をちゃんと見て、そうやって優しく笑うとこ







「A」







そうやって、温かい声で私と呼ぶところ






「…なによ」








初めて突然に、こうしてぎゅっと私を抱きしめてしまうところ





イ・ジンギってそんな男で




そんなイ・ジンギという、腹の立つ男が









「僕たち、ちゃんとしようか」









私はどうしようもなく好きなのだ









「…ちゃんとって」



「だから、付き合おうか」



「…それって、ジンギは私のこと好きってこと」



「分かってるのかと思ってたけど」



「……今までそんな素振りすらなかったじゃん」



「その発言に驚きだけど＾＾」



「そんな風に見てないと思ってた」



「どこが」



「…そういう感じが」







あははって笑う声が、頬をつけた彼の胸から伝わる








「僕、好きな子じゃないとこんなに優しくなんてしないよ」



「…」



「Aは僕のこと、好きかなぁ」



「…その発言に、驚きだけど……」





また、彼の笑い声が響いた









手をとって、横に並んで歩く



曖昧だった私たちが、



今、横に並んだ



彼が言った



私の少し後ろを歩くのが好きなんだって





「しばらく歩くと、Aが振り返ってくれるから」




「なにそれ」




「ちょっと拗ねたその顔が、凄く可愛くて、愛しいんだよ」って言う









秋って…少し嫌いだ









おしまい

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